日本のWeb30周年を記念したスペースの音声アーカイブを拝聴
先日、日本で最初にホームページを発信した人として知られる森田さんと何年振りかで再会、飲み会をご一緒させていただきました。それがきっかけで日本のウェブが30歳、記念の音声生配信イベント開催しましたというページを教えていただき、そこからリンクされている現在もアクセス可能なスペースの音声アーカイブを拝聴させていただきました。
なるほど、Fw: 『日本初』のホームページとKEKの科学広報黎明期で紹介したYouTube録画の講演とは異なり、良い意味でマニアックなネタが満載の、実に濃ゆい感じのトークが繰り広げられていました。2時間あまりありましたので、まったりガンプラを作りながら聞いていたのですけど、感想や気づきをざっくり覚え書きしておきます:
- 直前に「ユニーク」という言葉を使ってらしたので、多分それに引っ張られたのだと思いますが、森田さんがURLをUnique Resource Locatorと発言されていました。正しくは、Uniform Resource Locatorの略語です。
- Tim Berners-Lee卿の書いた文章は曲がりくねっててわかりにくい、という話がありましたが、然もありなんだなーと。過去に何度かW3Cのイベントで話しているのを聞いた経験がありますけど、喋り言葉もわかりにくいんですよね笑。私のリスニング能力自体アレなんですが、他の方も概ね口を揃えていたので、多分そういうことなんでしょう。
- 森田さんがリモートで作成した日本初のHTMLファイルには、CERN側からFTPスキームでリンクされていた?のは意外でした。というか、確かに
この時のサーバーはHTTPではなくて、FTPを使っていました
とWWWの黎明期にあったから、そりゃそうなんですよね。 - 聞けば聞くほど、Webの黎明期における高エネルギー業界のカルチャーとWeb(の設計思想)の親和性は異常......という感想。ネットワークを介したデータの相互運用性に対するニーズが特別高い業界だった、と理解すればこそ、CERNのような環境でWebが誕生したのはごく自然な成り行きと思えなくもない。
- Yahoo!が実は日本のNTTのディレクトリ、リンク集から着想していたかもしれないなんて、初耳でした。自分もいち時期、NTTのWebサイトはよく見ていた記憶があります。並行して見ていたのはNASAのサイト、それと伊藤穰一氏の「富ヶ谷」とかですね。今でこそWebサイトの数は無限に感じられますが、当時はガチ有限でした。
- Webの黎明期において助け合いが貨幣の流通だった、みたいな話がありましたが、何を資本としてみなすかの義論として大変興味深かったです。田坂広志先生の教えから資本には種類があるのだと今は理解していますが(知識資本、関係資本、信頼資本 etc.)、若い頃ってなかなか気づけなかったなー。
- 「前向きな人たちの前のめりな集まり」、このフレーズすごく刺さりました。確かにWebの黎明期ってそういう印象でしたし、大学4年生のときアルバイトとして今の勤務先に参加したときの環境がまさにそういう集まりでした。その前向きさを口実に?無茶苦茶やってましたし、それがまた楽しかったんですよね。
- 大学がサービスプロバイダの代わりをしていたって話で、改めて母校に感謝の念が湧きました。先輩の大貫さんも途中登場して、quotaが2MBだった話をしてましたけど(当時フロッピーの容量は2HDで1.44MBだったから1枚でバックアップは無理だったはず笑)、自前でサーバー立ち上げることなく気軽にcfi.waseda.ac.jpドメインで発信できたのは、今思えばありがたい環境でした。
- 終盤の、デジタルアーカイブが損なわれたときにどう処するべきかって話、本当に悩ましい。確か、飲み会でもそんな話になった(ないし「なりかけた」)ような記憶が。この音声アーカイブ自体、いつどうなるか怪しいし......少しでも先の未来まで、アクセシブルであってほしいものですけど、どうすればいいんでしょうね。石板はつらすぎる笑。
@kazuhitoは、木達一仁の個人サイトです。主に宇宙開発や人力飛行機、Webデザイン全般に興味があります。Apple製品と麺類とコーヒーが好きです。南極には何度でも行きたい。アクセシビリティおじさんとしてのスローガンは「Webアクセシビリティ・ファースト」。