宇宙開発にみる国粋主義の復活と弁証法
月でも「アメリカ・ファースト」-「NASAは宇宙での支配を目指す」長官代行が発言 - UchuBizという記事を読みました。
Petro氏は、「なぜBlue Ghostの着陸がNASAとアメリカの宇宙計画にとって重要なのか」を質問された際に、「現政権は本当に『アメリカ・ファースト』を維持したいと考えている。それを実現する方法は、宇宙のあらゆる領域で支配的な立場を確立することだ」と発言した。「そして今夜、まさに月面とその周辺で我々はその支配的地位を確立するのだ」
第二期トランプ政権にまつわるニュースは、個人的にはストレスでしかなく、あまり積極的に見聞きしたくないとすら思っていますが、ウォッチしている宇宙開発絡みのものは避けて通るわけにもいかず。同政権の掲げるスローガン、MAGA=Make America Great Againがいよいよ宇宙開発の現場でも色濃くなりつつあって、複雑な想いを抱かざるを得ません。
アメリカとソ連の国粋主義を背景として強力に宇宙開発が推し進められ、最終的に月面にまで人類が到達したことへのカウンター、一種の反動としての国際宇宙ステーション計画......さらにはNewSpaceと呼ばれる時代を経て、いよいよ宇宙開発で国粋主義が復活しつつある、というのは恐ろしくも大変興味深いトレンドです。これはまさに、田坂先生が盛んにおっしゃってきた「事物の螺旋的発展の法則」の応用例ではないですか。
世の中の変化や発展、進歩や進化においては、古く懐かしいものが、新たな価値を伴って復活してくる
上記は、ネット時代のビジネスマンこそヘーゲルを学ぶべき理由 | 7つの知性を磨く田坂塾 | ダイヤモンド・オンラインにある「事物の螺旋的発展の法則」の解説です。古く懐かしい国粋主義が、SpaceXなどに代表される民間企業の力、新たな価値を伴って、再び宇宙開発に復活しつつある。そしておそらく、いずれ再び国際協調重視への揺り戻しが、別の価値とともに復活するのでしょう。今はただ、現行のトレンドが人類の未来を閉ざすまで過激化することのないうよう、願うのみ。