文化勲章受章記念&『黒部心象 鉄塔』披露特別展 田渕俊夫―大地のうた―
始発の北陸新幹線で、久しぶりに黒部へ。かねてより阿曽原温泉小屋の泉さんが周知されていた、黒部市芸術創造センター セレネ美術館で開催中の文化勲章受章記念&『黒部心象 鉄塔』披露特別展 田渕俊夫―大地のうた―に、足を運びました。
『黒部心象 鉄塔』については、昨年4月に再興第108回院展で目にしていましたが、田渕俊夫先生の他の黒部にまつわる作品も堪能することができて満足。なかでも水の透明感を強く感じる『流(十字峡)』と、非常に大きなサイズの絵にもかかわらず歪みを一切感じない点が恐ろしくも感じる『放水(黒部ダム)』の2枚は、強烈でした。
おや? と思ったのが『S字峡』。全体的に赤みがかった絵で、どの時間帯を想起して描かれたかわからないのですけど、私の知っているS字峡のイメージとだいぶ乖離していたのです。それがまた面白く、興味深くもあったのですが。あと『旅の窓から 刻』というロンドンの風景の絵も、ほかの作品より多く直線が使われてるぶん印象的に映りました。
この特別展については、複数のメディアでも取り上げられていました。まずは「描く原点は感動すること」日本画の田渕俊夫さん、黒部で自作を語る [富山県]:朝日新聞より:
同館で初披露の「黒部心象 鉄塔」(2023年)は、山小屋を発つ際に目にした光景が題材という。田渕さんは、峡谷の厳しい所に立つ鉄塔について「ものすごく太い、重い電線がよくぞ張られている」。造った人らの苦労を思いやり「ありがたいなという思い、喜びを表した」などと話した。
そして日本画の巨匠 田渕俊夫さん特別展 黒部市セレネ美術館|NHK 富山県のニュースでも:
セレネ美術館の中村賢一主任学芸員は「田渕さんがみつけた黒部峡谷ならではの風景をはじめ、華やかな作品から水墨の落ち着いた作品まで、いろいろな世界を楽しんでもらえると思います」と話しています。
泉さんの記事からも引用しておきましょう。まずは当たり前すぎて、普段は見えてないけれど・・・ - 阿曽原温泉小屋より:
「黒部ダム・黒四発電所建設は偉業として称えられているが、この険しい黒部峡谷で維持管理を継続しているからこそ今の豊かな生活がある」みたいな話もでました。
そして感謝感謝! - 阿曽原温泉小屋から:
田渕先生は多くのギャラリーに、ユーモアを交えながら丁寧に時間を掛けて作品解説をして廻られ、阿曽原の鉄塔がモデルの『黒部心象 鉄塔』の解説の際には、「険しい黒部で、人間が大変な苦労をしながら鉄塔を作ってくれた」と話してくださいました。(ちなみに先生は作品解説だけで一時間ほど立ちっ放し、最後の質問コーナーにもニコニコ気さくに答えて頂きました)