フロントエンドの知識地図
発売からだいぶ時間が経ってしまったけれど、割と最近になってKindle版で『フロントエンドの知識地図 〜一冊でHTML/CSS/JavaScriptの開発技術が学べる本』を読みました。内容的に最新とは言い難いところもあれど、初学者向けに全体を俯瞰してもらう目的では良い本だと思いました。以下、気になったところ、もとい重箱の隅つつきを覚え書き(いずれも現時点で正誤表に記載はなし)。
JavaScriptの歴史において、ECMAScript 2015の登場は画期的でした。
「4.1.3 JavaScript」に出てくるくだりですが、なぜ画期的かの説明が不足している、控えめにいって明示的ではないと感じました。文脈的には年次のアップデートが始まった最初の仕様だから、というふうに受け取れるのですけど、そうハッキリ書かれているわけではないので......もやもやしました。
宣言的UIの考え方については後述で詳しく解説されています。
「5.1.5 現代的JavaScriptフレームワークの特徴」に出てくるくだりですが、「後述」と「解説」が意味的にやや重複している印象を受けたのと、なぜ能動態ではなく受動態なのか......というのが気になってしまいました。「詳しくは後述します」ないし「詳しくはX.Y.Zで解説します」で良いような。そもそも具体的に「どこで」解説されているかが、よくわからないのですが。
Twitter APIを使用してログイン機能や、投稿をTwitterにシェアする機能を実装する
「5.5.1 Web APIの利用シーン」に出てくるくだりですが、次に改訂されることがあれば、「Twitter」ではなく「X」に書き換えられるのでしょうね。
WCAGにはバージョンがあり、2.0(2008年)、2.1(2018年)、2.2(2023年)のほか、現在3.0が策定中です。
「6.2.1 Webアクセシビリティのガイドライン「WCAG」」に出てくるくだりで、まったくもって正しい記述なのですけど、この書きっぷりでは詳しく無い読者が2.xと3.0に一定の互換性がありそうな印象を抱きかねない懸念を感じました。略語としては同じWCAGであっても、3.0はWeb Content Accessibility GuidelinesではなくW3C Accessibility Guidelinesであり、互換性のない別物であることは書いてもよかったのではと思いました。
レイアウトシフトとは、Webページの読み込み時に画像の領域が確保されず、画像が表示されるタイミングでレイアウトがずれてしまう現象のことを指します。
注6.1にあるくだりですが、解説があまりにも画像に偏りすぎているのは、不正確では? と思いました。インラインフレームや動画、Webフォントなどに起因しても起こり得る事象と理解していますので、いかに初学者向けの本といっても割り切りすぎでは......と感じます。