FACILI'itiとKoenaの係争が決着

2024年9月20日 著

2023年の超私的デジタルアクセシビリティ関連10大ニュースのなかで触れていた、FACILI'itiとKoenaの係争について。私は当時、「KoenaがFACIl'itiに敗訴？」という見出しに続けて、以下のように記していました；

アクセシビリティオーバーレイ ベンダーのFACIl'itiがKoenaを相手取って起こした訴訟で、11月27日に判決が。26,256ユーロの支払い、ならびに2件のツイートの削除が命ぜられています。個人的にスラップ訴訟ではないかと思っていただけに、衝撃っていうか残念......少額ですが、控訴のための費用を募るクラウドファンディングで支援しました。引き続き、今後の成り行きをウォッチしたい所存です。

昨日になって、両社の係争が決着したことを知りました。9月18日付けで、KoenaがFACILI'iti versus Koena: press releaseという記事を公開したのを、上述のクラウドファンディングサービス経由で知ったのです。和解（compromise）した、という表現こそ使われていないけれど、概ねそういうことでしょう：

After discussions between the two companies' directors, it became clear that the energy put into fighting each other would be better spent defending the inclusion of people with disabilities, each in its own field of expertise.

両社の取締役で話し合った結果、互いに争うことに費やすエネルギーは、それぞれの専門分野において、障害者のインクルージョン向上に費やしたほうが望ましいことが明らかとなりました。

プレスリリースにある合意内容については、個人的に腑に落ちない点があるものの、少額ながら私の寄付したお金は無駄にはならなかったと受け止めています。Koenaのトップ、Altinier氏からは個別に感謝のメッセージもいただき、恐縮です。さて、FACILI'itiとKoenaの係争が決着したとはいえ、オーバーレイベンダーの提供する機能はWebブラウザが提供すべきという立場の私にとって、実現に向けた道のりは遠い......。