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Re: リフロー型電子書籍に印刷版のページ番号が表示されない(できない)現状について

鷹野凌氏が初めてのキーパーソン・メッセージとしてお書きになった、リフロー型電子書籍に印刷版のページ番号が表示されない(できない)現状についてを、たいへん興味深く読みました。印刷版ページ番号情報の表示に対応しているのはApple「ブック」アプリだけというのも意外でしたが、そもそも私がこれまで読んできたリフロー型電子書籍において、印刷版のページ番号を意識したことがほとんど無かったからです。

リフロー型電子書籍では、表示に用いるデバイスの画面サイズであったり、あるいは文字サイズによって、ページ番号はいかようにも変わります。老眼であるがゆえ、またその可搬性の高さゆえ、私は好んでリフロー型電子書籍を買うほうですが、これまでページ番号の必要性を感じたことがほとんどありませんでした。それは記事中にある

印刷版ページ番号情報がないリフロー型電子書籍では、印刷版の本なら可能な「この本の××ページを参照」というナビゲートができません。同じ本の中であれば、リンクを貼って参照させることは可能です。しかし、本の外側から本の中の特定の箇所にリンクを貼ることはできません。つまり、印刷版の本ならできることが、リフロー型電子書籍ではできないわけです。

というユースケースを、単に私が必要としてこなかったから、に尽きるとは思うのですけど、確かに言われてみれば不便さを理解はできます。リフロー型電子書籍の読書体験が、割とそれ単体で閉じて完結しており、ほとんどページ番号を必要とすることがなかっただけに(誤字・脱字を指摘しにくいくらいか?)、正直それを「瑕疵」と表現できるかというと、個人的には微妙なところですが。

そんな感想に端を発して、印刷版とリフロー型電子書籍の橋渡し役としてページ番号がどれほど有意義なのか? RS側で印刷版ページ番号表示の実装が進んでいないのは、そもそもニーズが少ない実情を反映してのことではないか? 「鶏が先か、卵が先か」状態に陥っている? などと考え始めてしまい、悩ましい気持ちになったのですけど、当該の記事で重要だと思ったのは、実はページ番号云々ではないのですよね。

2017年にはIDPFがW3Cに統合され、2023年には「EPUB 3.3」がW3C勧告となりました。約9年ぶりの正式アップデートです。また、2019年には読書バリアフリー法が施行されました。仕様や法律が変わったことで、ビューアに求める優先順位も必然的に変わるでしょう。もうそろそろ「電書協 EPUB 3 制作ガイド」をアップデートすべきです。

その役割を、電書協あらため電書連だけに任せていいのか? とも思います。JEPAにもなにかできることはないでしょうか? JEPA理事という立場になったいま、ただ意見するだけでなく、業界団体の当事者として働く必要もあるだろうと感じています。

上記を主張されたこと、心強く感じました。ページ番号にしろ何にしろ、改めて仕様と実装、理想と現実、そのギャップを捉え直近の最適解を文書化・明文化していただけると、ありがたいなと(他力本願)。その種のアクションの必要性は、記事で言及されているセミナー「各社のEPUBリーダーは、現行CSS仕様やアクセシビリティをどれだけサポートしているのか?」に私も参加し感じていたので。

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