寛容力のコツ
著
つい昨日、『自衛隊メンタル教官が教える 50代から心を整える技術』について覚え書きをしたばかりですが、これと『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』に加えてもう1冊、同じ下園壮太氏の著書を実は読んでいました。それが『寛容力のコツ——ささいなことで怒らない、ちょっとしたことで傷つかない』です。3冊の中では、本書が一番刺さったかな。
寛容力がほしいなら、もっと「生身」の人間について知ることが大切です。人間というものは、完璧ではない。一定ではない。一貫性もない。
その「人間というもの」のなかには当然、自分自身も含まれるはずなのに、どういうわけか自分は完璧だとか、一定であるとか、一貫性があるように思い込んでしまうんですよね......本当によくない。あとから思い返して、ブーメランを投げていたことに気付かされるケースが、しばしばあります。
人は「いつでも」寛容であることも、「誰にでも」寛容であることも、難しいのです。このことを、よく理解することが大切です。
本書は他人に対してのみならず自分にも寛容である必要を説いており、自らの不寛容さに絶望すべきではないと解釈をしました。そうでなければ、聖人君子にでもなれない限り、常に自身に対しストレスを溜め込み、最終的には絶望することになる。
怒りの感情は、「人を戦わせるための感情」「人を生き残らせるための感情」であり、それゆえに激しく、どうしても「過剰な反応」となって表れやすいのです。
別のページで怒りは原始的人的感覚
とあって、なるほどなと思いました。それだけ太古の昔から生き延びるための手段、生存戦略として培われてきたわけですから、怒りの感情はそう簡単に手放せるものではない。やはり、怒りの感情そのものというより、それを抱いてから自分がどう行動するかが課題なわけです。
人は、つい、「自分がこう思っているんだから、相手も同じように思うはずだ」と考えがちです。それが怒り、そして不寛容につながっていきます。
いやまったく仰る通り。正しさや正義についてもまた然り、ですね。違いを楽しむくらいの余裕を持つことが、他人に対する理解力や寛容力を育てていく
ともあって、自分のなかの正しさと相手の正しさとをどこまでどう擦り合わせられるか、そこのところのアウフヘーベンをもっと意識して生きていかなければ。
あなたが、相手より大人になりましょう。そうすると、緊張場面を自分の力で上手に乗り越えられた、コントロールできた、という自信が湧いてきます。
大人、ですか......50歳にもなってなお、大人の定義が正直よくわからない笑。しかし先にアウフヘーベンという言葉を引き合いに出したけれど、本書と田坂先生がよく言及される弁証法が自分の脳内で繋がった結果、日常的にアウフヘーベンを実践できる人は間違いなく大人な気がします。そういう大人を目指して、修行しよう。