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私たちが、地球に住めなくなる前に:宇宙物理学者からみた人類の未来

岡山まで往復した、その行き帰りの新幹線車内で読了したのが『私たちが、地球に住めなくなる前に:宇宙物理学者からみた人類の未来』。もちろん、研究テーマである宇宙開発と社会課題の関係について思考を深めるべく、そのヒントを求めて読んだ一冊だったのだけど、結果は空振り。しかし内容自体は素晴らしく、よくぞ言語化して下さったというくだりもあって、楽しめました。

いずれ今世紀のうちに、地政学的な再編成が新しい超大国同士のにらみあいを引き起こす可能性もないとは言えない。今後の世代はまた新たな「キューバ」に直面するかもしれない

原著である『On the Future: Prospects for Humanity』が発売されたのは2018年10月......なんだけど、まるで今年に入ってからのロシアのウクライナ侵攻を予言しているかのような。一時は真剣に全面核戦争の可能性すら取り沙汰されたわけで、昨今の世界情勢はまさに新たな「キューバ」と言って過言ではないと思います。

あまり嬉しくない生活様式の変化をともなう緊縮アプローチを訴える政治家は、まずたいした支持を得られないだろう——とくに、その利益が何十年も先にならないと発生しないのであればなおさらだ。

政治家という生き物が、概ね自身の去就にしか興味が持てず、故に短期思考から長期思考へシフトできないのだとすれば。どれだけ富や権力に恵まれようと、誰だって100年もすれば骨になるものと理解してなお、いやむしろそうであるが故に、発想を転換できないのだとしたら。一体何がゲームチェンジャーたり得るのか、すごく悲観的になります。

今の世界はすっかり相互連結を深めているから、起こりうる最悪の惨事の規模がかつてないほどまでに大きくなっている。

こちらは2年前から続くコロナ禍を予見されていたかのようなくだり。宇宙開発とインターネットが、惑星レベルで相互連結というか相互依存を深めさせてきたし、それが「どちらかといえば」自滅を未然に防ぐための有効な手立てとすら信じてきたけど、この世が砂上の楼閣であるが如きなのは昔と変わらず、なのでしょうかね。

どの村にも馬鹿者がいるように、この地球村にもそれなりの馬鹿者がいることだろう。そして地球村の馬鹿者がやることは、地球全体に影響が及ぶのである。

新型コロナウイルスが兵器として開発された代物という証跡は、今のところ見つかっていない認識ではあるものの、仮にそれが兵器でなかったにせよ、人為的に作られたものだとすれば。まったくとんでもない馬鹿者が、地球村に実在したことになります。そしてそういう馬鹿者はいつか必ずまた現れるのだろう......一体どうすれば。結局のところ倫理教育が課題なのか。

ワインバーグ流に言えば、科学者はほぼ全員が還元主義者で、どれほど複雑なものも含めて、すべてはシュレーディンガー方程式の解であると確信している。

上記が本書で一番笑えるところ。自分は科学者ではないけれど、還元主義が万能だなんて思って欲しくないなぁ、科学者には。

「宇宙船地球号」は虚空の中を突進している。乗客は不安といらだちでいっぱいだ。船の生命維持装置は脆弱で、いつ破損や故障に襲われてもおかしくない。それなのに、計画はほとんど練られていない。

いやまったくですよ。人類、本気で愚かすぎませんか(もちろん私を含め)。

今こそ、生命の運命について楽観的なビジョンを思い描こう——それがこの世界での生命にしろ、ここから遠く離れた生命にしろ、私たちは地球規模でものを考える必要がある。合理的にものを考える必要がある。長期的にものを考える必要がある。

本書で残念なのは、そのように行動変容を促すための具体的な提案までは踏み込んでいないこと。地球規模でものを考える、にはもっと社会や環境、惑星全体を俯瞰しやすく、究極的に「見える化」を推し進めないといけないし、その段で宇宙開発やインターネットは役に立つはずだけれど。しかし合理的思考や長期的思考は、絶対的に教育が必要だし時間がかかります。果たして間に合うだろうか? 不安しかありません。

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