Re: 憧れのJAXAを退職しました。
著
少し前のことですが、Twitterに流れてきた憧れのJAXAを退職しました。|Spica|noteという記事を読んで、いろいろ共感しました。冒頭、
具体的にいつ頃から私はJAXAへ入りたいと思っていたかは思い出せない。幼い頃から宇宙飛行士になりたくて、そのためにはJAXAの職員にならなければいけないのかな、と漠然と思っていた記憶はある。
とあるのは、まるで昔の自分。宇宙飛行士になったり、宇宙開発に携わるには、NASDA(注:JAXAに統合された3機関のひとつ、宇宙開発事業団)という組織に入らなければいけないらしい......そのためには国立大学(できれば東大)に入学したり国家公務員試験に合格すると良いらしい......というふうに、小学生だか中学生の頃には意識していましたからね。
私は物理学がとても苦手だった。JAXAに就職するのであれば東大へ入らなければいけないのではないかなどと考えており、そうなると物理学は諦めて得意科目の数学などで入学したほうがいいのだろうかなんて悩んでいたが、このメールを読んでそんな進路選択は私の中から抹消された。
上記のくだりも、ほぼほぼ高校時代の自分。東大は無理でも何とか理工系、できれば航空宇宙を学べる大学に入って夢を繋ぎ止めなくては......って思いながらも、物理が致命的にできなかったんですよ。何せ学年で下から数えた方が早い順位でね。もっともらしい言い訳としては、NHKスペシャルの『アインシュタインロマン』にどハマりした結果、物理学に不信感?を抱いたせいってことにしてるんだけど。
結局卒論では太陽系外惑星やアストロバイオロジーについて書いた。その方面で外部の大学院へ進学したいと思っていたが、ニッチな分野であるということもあり院試の倍率が非常に高く、呆気なく落ちてしまった。
いいですね、アストロバイオロジー。自分が国際宇宙大学(ISU)に参加するため親のスネをかじりまくって渡米したのとちょうど同じ時期に盛り上がり始めた学問領域であり、またISUでは2つあったTeam ProjectのうちInternational Strategies for the Exploration of Marsを選択、火星由来の隕石(ALH84001)について発表したっけ。何なら今からでも、アストロバイオロジーはちゃんと勉強したいです。
しかし働き始めてほんの1ヶ月ほどで気づいた。私はJAXAへ入社することを目標としていたため、採用された時点で既にそれは達成されてしまっていたのである。自分の思い描いていた夢と現実、そしてそれを達成したことで生まれた喪失感のようなものを、いつしか感じ始めていた。
原点に立ち返った。「興味のあること、好きなことを極める」。JAXAへ入社した私にとっての興味は次の段階に移っていて、それは「宇宙飛行士になること」であった。そのためには、それを達成するスキルを極める必要がある。
自分もその後、偶然と幸運のおかげで宇宙業界に職を得て、かつて憧れだったNASDAに日常的に出入りするようになったし、一度は宇宙業界を離れたあとも、再びNASDAへ出向という形で舞い戻る機会をいただきました。NASDA職員として作ってもらった名刺は、今でも宝物です。それでも結局、Web制作を生業とし続けて現在に至る理由は、「興味のあること、好きなことを極める」に近い。そもそも、宇宙業界にいた当時だって、やっていたのはWeb制作(NASDAのWebサイト運用)でしたから。
最後に......著者のSpicaさんが、どうか宇宙に行けますように。そして「飯の種」か否かの違いはあれど、Web制作と宇宙開発のどちらも大切な軸足というスタンスで生きてきた自分もいつかは、職業的宇宙飛行士としてではなく別の立場で、宇宙に行けますように笑