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宇宙ビジネスの衝撃

宇宙ビジネス入門』に続き、その界隈を俯瞰し直す目的で読んだのが、『宇宙ビジネスの衝撃——21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』。2018年5月の出版とやや古くなってはいるけれど、かねてよりお世話になってきた大貫美鈴さんが著者でいらっしゃるので、売上に貢献したく。ちなみに出版された頃に息子が紙版を買って持っていたのを借りて一度読んだ気がします。

二人に共通しているのは、まずは輸送機を安くつくり、宇宙へのアクセシビリティーを高めようとしていることです。

上記の二人というのは言わずもがな、イーロン・マスク氏とジェフ・ベゾス氏のこと。宇宙の本でアクセシビリティという言葉を使っているのは新鮮だなと思った一方で、職業的宇宙飛行士か一部のお金持ちしか行けない現状、宇宙空間のアクセシビリティはまだまだ低すぎると実感。

打ち上げコストの低価格化や小型衛星のコンステレーションによる時間分解能の向上、データアナリティクス技術の進化で、小型衛星を含む衛星データの第1次産業への利用が急拡大しています。

上記より前に宇宙にネットワークを張り巡らせることで、「地球のビッグデータ」が手に入る。これが、さまざまなビジネスを生み出すと期待されているともあって、やはり宇宙視点でこそ得られる地上のデータが金の鉱脈っぽく認識されてるんでしょうね。カメラやセンサー類の高性能化と相まって。特に

衛星の目で経済状況の把握、未来予測をすることは、外交をしていく上でも相手国を知ることができるツールになるのです。

を読むに、自国でそういう衛星を製造し、なおかつ打ち上げる手段を有するというのは、やはり重要な外交カードになり得ると理解。今や国どころか私企業がそういう能力を有する時代でもあるわけで、SpaceXの躍進には本当に胸が躍る......同社が闇に落ちでもしない限りは。

国際宇宙ステーションに滞在するのに数十億円を支払ったり、サブオービタル飛行で数分の滞在二数千万円を支払うビジネスでは、大きな市場にならない

これは全く同感で、金額が一桁下がらないと、まぁ無理でしょう。ただその低価格化(&安全性の向上)というプロセスにおいては、金を余らせ使い道に困っている物好き(誉めてます)による宇宙飛行が一定回数必要なことは確かで、そういう人々を個人的に応援はしたい。頑張れー。

月を解明することで、太陽系や地球のこともわかると言われています。人類が行って意味のある場所だという認識が、すでに共有されているのです。

共有はされているとしても、賛同されているとは言い難いのが現状と認識しています。そこが本当に面白くも難しいところで、宇宙倫理学の本を読んだり宇宙ユニットシンポジウムに参加する都度、考えているけれど......全人類的な合意に到達することって可能なんだろうか、可能だとしたらその動機として地球の持続可能性という切り口はどこまで貢献できるんだろう、というのが主たる興味。

なお1箇所、マネキンのスターマンに言及しているくだりで、「乗車」とあるべきところが「乗者」になっていました。

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