思い出のシャフト
著
人力飛行機 Advent Calendar 2021の4日目の記事です。何を書こうかなと思ったけれど、現役で活動しているわけではないし、となるとやっぱり昔話をするより他なくて......まぁ、昔話は年寄りの特権らしいので? 遠慮なく書きますよ。
恐ろしいことに四半世紀以上が経ってなお、自分の手元には一点だけ、かつて乗っていた人力飛行機の部品があります。それが以下の写真に示す、ギヤボックスのシャフト。1994年から1995年にかけて、Little Wing '94とPerdixという2世代・2機の人力飛行機で使用しました。
2機ともチェーン駆動の機体で、当時の技術力ではシャフトドライブなんて夢また夢......だったのですけど、せめてチェーンを捻らなくすることで駆動効率を少しでも上げようとしたんですね。設計は自分が行い、製造は当時お世話になっていた大学近くの企業に依頼したものです。
少し錆びてはいるものの見た目や手触りに変化はほとんどありません。いま手に取ると、とても不思議な想いに囚われます。間違いなく、あの2機の人力飛行機の狭いコックピットの中で苦楽を共にした部品であり、2度にわたってプラットフォームから琵琶湖に向かって旅立った品ではあるのだけど、ちょっと信じられないというか、手元に残っているのが奇跡に思えてしまって。