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サステナブル資本主義

サステナブル資本主義 5%の「考える消費」が社会を変える』を読了。本書はとにかく、まず著者の経歴が興味深い。

私は宇宙科学研究所(現JAXA)で宇宙工学の研究者として活動した後、外資系投資銀行のゴールドマン・サックスでM&A(企業の合併・買収)バンカーとして働いてきました。

かなり異色の経歴と言っても良いのではないかしら。もっとも、ご本人的には

一見、バラバラなように見える私のキャリアですが、未来社会を創造し、よりよい社会の実現にテクノロジーやファイナンスを活用するという点で一致しています。

ということで、筋は通っているみたい。まぁそれで言ったら宇宙業界で社会人デビューした後にIT業界へ鞍替えした自分も異色っちゃあ異色だし、自分なりに通してきた筋はあるけど(地球全体を俯瞰する視座を持ち、これからも活動していきたい ― 木達一仁|WD ONLINE参照)。

さておき、本書は持続可能な社会を志向するうえで必要な資本主義を説いた一冊で、大量生産&大量消費を否定し、カネよりも人を中心とした資本主義?を主張されています。ステークホルダー資本主義の亜種みたいな印象を受けたけど......地球を一つの株式会社として考えたとき、

本来バランスシートに計上すべき「地球」という希少資産を計上せず、それを買うための借入金も計上せず、それぞれオフバランスシート(計上しないこと)で会計決算を行う、一般企業で言えば不正会計を行なっている状況

というのは、大変わかりやすい。このへんが従来型の資本主義のバグというか、致命的なところだろうなと思います。そんな現状認識において、ともすると無力感を覚えざるを得ない個々人に対しては、五%の消費者の消費行動が変わって来れば、大きなうねりに変えていくことができるという前提で、

持続可能な社会を望むのであれば、資本主義が提示する価格ではなく、社会やその人にとっての価値を自分自身で判断する投資家マインドを持った消費が重要

とアドバイス。なんとも曖昧で抽象的......消費=投資、という認識の切り替えがもたらし得る効果はなんとなくわかりますし、期待もしたくなるけど、それで社会が本当に持続可能にできるのかは正直疑問。結局のところ、エシカル消費でなんとかしようってことなのかなぁ。

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