@kazuhito
Kazuhito Kidachi's Personal Web Site Since 2000

SXの時代

勤務先のサイトのコラムに『DX&SXの時代』というのを寄稿したのは今年6月に遡るのだけど、それより後になって読み終えたのが『SXの時代』。

サステナビリティ、という言葉の意味するところに深く賛同している立場からすると、だいぶ耳障りの良い内容であり基本的に納得できる内容であったものの、だからこそ眉毛に唾をつけて読まないといけない気もした一冊。

企業は「世界の課題を生み出す加害者」から「世界の課題を解決する協働者」となることが事業を存続させるうえでの必須条件となりつつある。

既存の企業をすっかり悪者扱いしている風ではあるけれど、ダボス会議なんかが必死で起こしつつある地殻変動を短く言い切るなら、こういう表現・言い回しになってしまうのだろうなという感想。当然、これまで以上に倫理観が大前提になりそう。

トレードオンの関係、つまり「経済価値と環境・社会の価値は同時に高められる」という発想が、これからの企業経営者に最も求められる

トレードオン、本書では繰り返し登場したキーワードでした。トレードオフより耳馴染みの無い言葉だったけれど、おかげですっかり慣れましたわ。言うは易し、ではあるけれど、上記のトレードオンの道筋を継続的に見出すことが本当に大事だなと感じます。

自然の自浄作用・回復のキャパシティ(許容力)に関して、プラネタリー・バウンダリー(「惑星限界」とも呼ばれる)という考え方がある。

プラネタリー・バウンダリーにしろ惑星限界にしろ、言葉としては初耳でした。と同時に、非常にそそられる言葉でもあります。その方面に特化した研究とか学会ってあるのかな? とか思いつつプラネタリー・バウンダリー - Wikipediaを眺めたけど、当然の如く極めて扱う範囲は広く、学際的。地球の限界:"私たちの地球"の科学、ちょっと見てみたいなぁ。

サステナビリティを「外圧への対応」ととらえている限り、サステナビリティの実現に必要なヒト・カネは「コスト」となるだろう。

似た話で外部不経済の内部化っていう表現もたびたび本書に出てくるのだけど、要はこれもトレードオン発想の一つかなという理解。 単純にラベルの話と言えばそれまでですが、従来の発想なり視点を転換すれば、コストと呼んでいたものはそうでなくなる(かもしれない)。

サステナビリティトランスフォーメーションとは、①トレードオン事業を追求すること、②統合思考で長期的戦略を考えること、③実現できる仕組みを構築することの3点に集約される。

本書のタイトルのSXとはつまりサステナビリティトランスフォーメーションのことですが、その要点が短く一文にまとめられていました。統合思考、という言葉も自分には目新しかったのですが、SDGs文脈などで目にしていた「統合レポート」の存在からすれば至極納得。

現在地:ホーム > 覚え書き > 月別アーカイブ > 2021年8月 > SXの時代
Google カスタム検索を利用しています