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死後デジタル労働

今日の社会情報学概論の授業で扱った主要テーマのひとつがD.E.A.D. Digital Employment After Death、「死後デジタル労働」という概念。その言葉自体、自分は初耳であり新鮮でしたし、非常に興味深かったです。

前座として、「AI美空ひばり」「AI手塚治虫」といった事例を題材に、情報技術で人間を擬似的に蘇らせることの是非というか、それにまつわる論点をグループで議論したのね。そもそもそういう取り組みを肯定的に捉えるか否定的に捉えるか、どちらの立場からもバランス良く意見が出ました。

自分が引っかかったのは、どんな「蘇り」であれ、そこに本人の承諾なり意思の介在せぬ点。加えて、それでビジネスが成立し得ることの危うさというか......どれだけ精巧かつ緻密な再現であっても、所詮は贋作だと思うので。まぁ贋作を贋作と明示してなお歓迎する向きを否定はしないけれど、多少モヤモヤとはする。

そうした議論に続いて、死後デジタル労働という考え方が紹介されました。自分が死んだ後のことなんて知りようがない、ゆえにどうでも良い、という価値観もそれなりに根強そうだなと感じつつ......権利周りがなおざりなままで技術が一人歩きし始めている印象は否めません。今後この辺りがどう整備されていくことになるのか、注目したい。

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