サステナベーション
著
『サステナベーション sustainability × innovation ――多様性時代における企業の羅針盤』を読みました。サステナベーションとは筆者による造語で、サステナビリティとイノベーションを掛け合わせたもの。サステナビリティを実現するためのイノベーション(主にはIT中心の技術的イノベーション)という意味だそう。
筆者自身は、「サステナビリティ」という言葉には持続可能性という意味の枠を超え、社会を存続させるために「共生を実現する」という、より広い意味があるのでは無いかと考えています。
これは同感。そもそも社会を持続可能にする目的は何かといえば、共生に他ならないと思うんですね。そして共生の対象となる世代に制約は無いとも思っているから、自分が死んだ後のことはどうでもいい......じゃなくて、将来の世代のためにも社会を持続可能にする必要があるのでは無いかと。
人と技術の関係性はまっすぐ一本道を進むかのように発展してきたものではなく、振り子のように「楽観」と「悲観」の間を行き来しながら、螺旋を描くようにじわじわと上がっていったのでは無いかと、筆者は考えています。
これもすごく納得感のある表現というか、モデル。さまざまな「軸」において行きつ戻りつを繰り返しながら、時間の経過とともに進化の方向性が収斂していくのは、あらゆる物事にも適用できるんじゃ無いかとすら思っていますが。
人と人とが、また人と社会・環境・経済が互いに共生しあえる「理想的な均衡点」に向かうまでのプロセスを、粘り強くこなしていかなければ進歩は達成できません。
難しいなぁと思うのは、その「理想的な均衡点」というのが静的ではなく動的だと自分は考えていること。何年先までの未来を切り取ったところで均衡点を定義するか、によってもだいぶ議論が変わってきそうですし。
金融と経済活動における透明性と長期主義を育むこと
上記はサステナブル金融について書かれている中で登場するくだりですが......短期主義から長期主義への一種の揺り戻しこそがサステナビリティにとって本質的な課題のようにも思えていて。部分最適としての短期主義は残しつつも、全体最適としては長期主義に持っていくっていうかな。まだ全然、思考を整理できてないんですけど。