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小屋番三六五日

阿曽原温泉小屋の泉さんが、平時の有事!第五話に拙い私の文が・・・などと紹介されていたのがきっかけで、『小屋番三六五日』を購入&読了。小屋主の皆さん(穂高岳山荘の今は亡き宮田八郎氏を含む)のエッセイ集なんですけど、一話が短くて読み進めやすかったし、勉強になりました。まずは第三話(丸川荘)から:

人間が小便をした跡を動物が掘り起こし、その結果、小さな裸地化が広まっている

なるほど、そういう悪影響があるわけですか......無闇矢鱈と山行中にするもんじゃあないとは認識しているし気をつけてきましたが。そして第十一話(船窪小屋)について:

人気山域・北アルプスにあって、混雑とは無縁の山旅を味わえるエリアに立地する。北アの「穴場」的存在の山小屋。

Webサイトを拝見して、なるほど立地的にそうそう行ける場所ではないなと。しかし「穴場」と書かれてしまうと、やはり興味がわきます......北ア好きとして、いつか行ってみたい。次に第十三話(大天井ヒュッテ)から:

二〇〇二年の秋に、心ないひとりの無法者によって、北鎌尾根がペンキとテープによってマカに汚されてしまいました。

こういうイタズラをする輩の存在を本当に信じられないのだけど。間違ったルートに誘導された登山者がもし仮にそれで命を落としたら? 殺人になってしまうのでは? うんと重く処罰できないものだろうか......犯人は捕まっていないようですが。第四十話(真砂沢ロッジ)からは

登山者の皆様、ザックの中はきちんと整理して、知らぬ間にオコジョのボッカをしていたということにならぬよう、充分注意してください。

なんて注意喚起がw そんなことあるの?って思ってしまうけれど、実際そういう事象としか思えないエピソードが書かれていたわけで、すごく面白い。そしてキュンとしたのが第四十一話(塩見小屋)ね:

「もう歳ですから、皆さんに迷惑をかけては行けないので、これが最後の縦走です。もうお会いすることもありませんね」このひと言ふた言に、私の胸にこみ上げるものがありました。

自分もいずれ、こういう台詞を吐くタイミングが来るのだろうと思うと、山歩きなんていう趣味はつくづく人生の残り時間との勝負だなって思ってしまうし、美しく歳を取るのは難しいとも思います。父親に免許の返納を勧めるのに似て、周りに迷惑をかける前に自ら断念するというのは、かくも切なく苦しいものになるのかと。最後に第四十九話(光岳小屋)より:

自炊経験がまったくなく、コンロを使ったことがないという登山者も多く見受けられるようになりました。

ああ耳が痛い......まさに山小屋泊メインで山歩きをしてきた自分のこと。ようやく昨年、テント泊を始めたものの、まだコンロは持ってないし基本的に行動食だけで歩いてるから。コンロを使っての食事は、今年の課題かつ挑戦になるかと思います。

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