現場のプロから学ぶ SEO技術バイブル
著
SEO関係の本はしばらく買ってなかったのですが、比較的最近になって読んだのが『現場のプロから学ぶ SEO技術バイブル』。書店店頭でざっと眺めた時点では、さほどいい加減なことが書かれてなさそうな印象だった(論拠が割と頻繁に注釈で示されていた)のと、かなり広範な話題を取り扱っており、SEO視点でのトレンドを手っ取り早くカバーできそうと感じたのがきっかけ。
とはいえ、いざ読み進めると出典が明示されていない箇所もそれなりにあって、結果「それはどこ情報なんだろう」と疑問に思うところがあり、それはそれで結構なストレスでした。あらゆる数字なり記述に出典を求めるのは非現実的かつ酷だとは思うのですけど......テーマがSEOだけに(謎)どうしてもこう疑ってかかる癖が抜けないというか。全部は挙げないけれど、特に強く疑問に思った箇所をピックアップ:
- p.27
本書ではHTML標準を策定しているW3Cのルールに従い、1ページに1つの<h1>を推奨
......そのW3Cのルールとは一体。仕様ではなくベストプラクティスとして語られることの少なくない内容ですが、Re: h1要素は複数回使って良いのか!? HTML5.1に関するW3CとWHATWGの主張の違いで書いた通り、同一ページにおける複数回のh1要素の登場は仕様上は問題ない認識。 - p.29
2014年10月にHTML5が勧告された際には、HTMLタグにおける装飾的な意味合いがほとんどなくなり、HTML(文書)とCSS(デザイン)の役割分担が明確になっています
......いわゆる構造と表現の分離が明確化されたのは、HTML4からではないかと思いました(Introduction to HTML 4の2.4.1 Separate structure and presentation) - p.30
絶対パス:URL全体を記載する方法
......これは解説を正とするなら、絶対パスではなく絶対URI(ないし絶対URL)の誤りでは(RFC 3986 - Uniform Resource Identifier (URI): Generic Syntax参照)。 - p.34
HTML5ではalt属性自体の省略も可能です
というのは、それ自体は正しいものの、省略可能なケースはかなり限定的であることは、The WHATWG Blog -- Why the Alt Attribute May Be Omittedまで遡らないまでも、付記されて然るべきです。でなければ、本来必要なalt属性までカジュアルに省略されてしまう懸念を感じます。 - p.151
W3Cは「1ページにつき<h1>タグは1つだけ記述できる」としているのに対し、WHATWGは「sectionごとに<h1>タグを1つ記述でき、1ページに複数の<h1>タグを記述しても問題ない」と主張
......これは先頭の項で触れた通り。 - p.204
JavaScriptのlink要素
......link要素ではなくscript要素の誤り? - p.223 表6.5.0.1
身障者向けアクセシビリティ
......誤記ではないにせよ、アクセシビリティ対応が障害者のためだけのものというイメージを助長する表現であり、好ましくないと考えます。 - p.367
はてなブックマークも必ず設置しましょう
......はてなのSNSボタンの設置をそこまで強く推す必要はないと思っているので、違和感が強いです。 - p.409
機種依存文字を使用していないか
......そもそも機種依存文字という表現、いまでも現役なのでしょうか。参考:機種依存文字とUnicode - WebStudio
他にも細かい表現、言い回しで引っかかったりはしましたので、正確なところは自分で都度調べたり考察しつつ、あくまで昨今のSEOの全体像を俯瞰する目的で読むのが良いと個人的には思いました。