海外Webマーケティングの教科書
著
最近になって読んだのが『海外Webマーケティングの教科書』。グローバルWebサイトの構築や運用に関して日本語で書かれた専門書って、それっぽいキーワードで検索してもなかなか出てこないなか、自分が監訳した『グローバルWebサイト&アプリのススメ』以外で見つけた一冊。著者が取締役会長を務める会社のサービス、QR Translatorの宣伝っぽいところは若干気になった点を除けば、浅く広く関連する話題を拾っていてさらっと読めました。
引っかかってしまったのは、p.95から始まる図表3-2「中国語のweb翻訳スタイルガイド」のところで、「14.CSS符号」とあったのだけど、これは単にリストマーカーのことでは......という部分。符号、という表現が間違いとも言い切れないのですけど、実際にCSSを読み書きしている立場からすると違和感が強かったです。ちなみに図表全般は興味深くて、日本語圏と中国語圏の双方における表記の対比というのは、見たこと無かったような。
あとは......p.33より始まる「日本市場は世界へ羽ばたく滑走路」のなかで、品質の高さを根拠にやたら日本の中小製造業を持ち上げているあたりも気にはなりました。確かにそういう側面はあったことを認識しているし、一部は今現在にも引き継がれている状況とも思うものの、中国では量から質へのシフトが急速に進んでおり。かつての「安かろう悪かろう」みたいな話は減っていっているみたいなのも聞こえてきているので......どうでしょうね。品質を武器に戦うのすら苦しい場面は増えているかもしれない。また「おわりに」には
日本企業は、日本という区切られた市場の中で改善サイクルを回してきたがゆえに、あらゆる部分で日本市場に最適化されたものができあがり、それが「ガラバゴス」と揶揄されるようになりました。
しかし、いま、世界はグローバル化を終えて、非常に小さな市場になっているのです。日本企業は、今度はその「小さな」世界市場の中で同じような改善サイクルを回せば良いでしょう。
と書かれていますが、果たしてそう簡単・単純に行くかどうか? とも思います。あらゆる領域において分化と統合の綱引きが行われているのを感じるにつけ、その「小さな市場」においても実際には数多くのセグメントが存在し、それぞれに適したマーケティング施策を打っていかなければいけないだろうし、実際それを実現する方向へと技術は進化、ユーザーニーズの分解能を上げてきたわけですから以下略。