UX Cafe: チームで取り組む!サイボウズのアクセシビリティ
著
11月28日の覚え書き。応募者多数のところを、無事抽選で生き残れたので、UX Cafe: チームで取り組む!サイボウズのアクセシビリティに参加しました。サイボウズ社におけるアクセシビリティ推進の旗振り役、小林さんには以前から懇意にしていただいてましたし、講演も聞いたことがあったのですけど、他の社員の方からお話が伺える機会ということで、楽しみにしていたのです。当日の様子はUX Cafe チームで取り組む!サイボウズアクセシビリティ - TogetterやUX Cafe: チームで取り組む!サイボウズのアクセシビリティ - yamaScrapboxをご覧いただくとして、全体的な感想とか懇親会で話したことなど:
- ギルド活動について。いわゆる横軸組織の名称としてはあまり聞き慣れなかったので、その由来を懇親会で伺ったのですけど、スクラムとかアジャイル方面に由来してつけた名前だそう。アクセシビリティのほかにも例えばCIに関するギルドがあるらしいです。
- そのギルド活動の紹介で、時間を決めて活動したというのは地味に大事なポイントかもしれないなと思いました。頻度の低い、短時間で、宿題もない勉強会というのは、ある意味すごく敷居を下げているわけで、「小さく産んで大きく育てる」の王道を進んで来られたのだなという印象。
- 自分はWebアクセシビリティ、まず取り組むべきはカルチャーとプロセスというのが持論ですけど、ギルド活動が象徴して聞こえたように、カルチャーづくりについてはとても順調に進んでいるように感じました。プロセスについてもそれはそれで紹介がありましたけども。本当に小林さんはサイボウズという会社を変えたのだなぁと。
- 一方で、取り組みにおけるボトムアップとトップダウンのバランスはやや気になった点です。どちらかというと発表者の皆さん共通して、草の根的にボトムアップで取り組みを進めていらっしゃるようですが、トップダウンな目線とのすり合わせ方、例えばPMとの折り合いのつけ方などについては、まだ道半ばという風に聞こえました。
- アクセシビリティの向上にいまひとつ乗り気でない顧客への対応というのが、懇親会で話題になったのですけど、自分はやはり、その企業の経営理念などと紐づけて説得をするのが良いのではと思います。小林さんの場合はビジョンと紐づけたそうですけど、経営理念くらい抽象度が高くトップダウンな(企業の存在意義を説く位置付けの)文章って基本、良いことしか書かれてないわけで、それに照らせばアクセシビリティに取り組まなくていい理由なんて無いはずなんです、大抵。
- アクセシビリティの確保を歯磨きのように「普通のこと」にしたい、日常にしたいというサイボウズの皆さんの想いは、よく伝わってきました。原理原則としては自分も100%同意なのですけど、ただそれって実は結構、さじ加減の難しいお話だったりするように自分は思います。組織全体の前向き度合いというか、浸透状況に応じてさじ加減を変えないと、かえってやる気や動機を減じてしまうケースもあるのではないかなと。評価設計にも絡む難しさといいますか。
- 仕様ありきか実装ありきかというお話(謎)。自分は、いかに仕様として存在していても、対応する実装がUAや支援技術に存在しない=現世でご利益が無いようであれば、そこにコストを割くことにはやや否定的な考えを持っています。そしてその志向は、アクセシビリティ・サポーテッドという考え方と整合しているはず。ユーザーに害を及ぼさず、将来的にWeb標準と矛盾する可能性が低く、対応コストが高くなければ、別にいいかなと思ったりもしますが。
なんだかんだで22時近くまで会場でだべってしまったわけですが、小林さんはじめサイボウズの皆様にはこのようなイベントを開催していただき、また素敵な会場と飲み物・食べ物までご用意いただいて、感謝申し上げます。ありがとうございました。まぁ自分は直前に秋葉原のごっつで味噌ラーメン食べたうえ会場近くで塩キャラメルラテを買ってきてしまったので、何も飲まず食わずでしたけどw あと、技術書典5の前後から彗星の如く「Webアクセシビリティやっていき」界隈に現れご活躍中の@yamanokuさんと会場でお会いすることができたのもありがたかったです。
[ 2018-11-29 追記 ] イベントで使われたスライドが全て公開されていました:
- 20181128_Garoonチームのアクセシビリティ_デザイナー編 / 20181128 Accessibility Garoon - Speaker Deck
- Accessible な実装を求めたら大変だった - Speaker Deck
- 20181128_Garoonでアクセシビリティなテスト / 20181128 Accessibility Garoon Test - Speaker Deck
- 20181128_TCチームのアクセシビリティ/ 20181128 Accessibility TC - Speaker Deck
- 20181128_kintoneチームのアクセシビリティ_デザイナー編 / 20181128 Accessibility kintone - Speaker Deck
[ 2018-12-13 追記 ] 公式のイベントレポート記事が掲載されていました(イベントレポート: Cybozu UXCafe「チームで取り組む!サイボウズのアクセシビリティ」 - Cybozu Inside Out | サイボウズエンジニアのブログ)。