インクルーシブHTML+CSS & JavaScript
著
自分が監訳をしている書籍、タイトルが『グローバルWebサイト&アプリのススメ』&発売日が12月23日に決まり、そちらのお仕事も割と佳境を迎えているのですが、それはそれとして、今回の渡米にいただいた見本誌を持参していたので、『インクルーシブHTML+CSS & JavaScript』を読了。一言で感想を言ってしまうと、面白かったしためになりました。
面白かったというのは、主に著者であるピカリング氏独特の言い回しだとかユーモアセンス、「そこでそうマークアップするかー」みたいな驚きに起因し、ためになったというのは、主に太田さんが超絶書き起こしたとかいう訳注にある豊富な知見、特にスクリーン・リーダーでの読み上げ事例だったり最新情報だったりに起因します。素晴らしい書籍を、ありがとうございました!>監訳の太田さん、伊原さん、編集者の岡本さん
以下、自分なりに気になったことの覚え書きです:
- URLはページごとに最下部にまとめられているのですが、もう少し文字のサイズが大きくて、かつ斜体でなければ嬉しかったです。
- 特定の訳注に関するものではありませんが、ピカリング氏の意図を推し量って「〜でしょう」「〜と思われます」などと書かれている箇所が気になりました。そこは、ご本人に確認を取られても良かったのではと。
- p.24で、viewportメタに関しuser-scalable=noへの言及があるのですけど、この位置にこそp.211にある訳注が欲しかった感じです。もしくは、ページが離れているので、両方で言及するかですね。
- p.28で、CSSの単位であるchが登場しますが、あまり使われていない単位ではないかと思ったので、ここにも訳注が欲しかったです。
- p.37で、Stylishが紹介されているのですが、ページ最下部に紹介されているのはChrome版のみ。Firefox版もあるとなお良かったのでは、と思います。この辺りは原著に忠実なのかなと感じましたが。
- p.38で、ユーザースタイルシートの訳注がありますが、ドメインごとの適用は記述例があるとなお良かったのでは、と思います。でも@document - CSS | MDNを見る限りサポートしてるのFirefoxだけっぽい?
- p.40で、ソースの
initial- scale=1.0
のところ、不要な空白文字があるようです。 - p.50で、訳注に「Chrome55」と「Chrome 55」という表記があり、空白文字を挟むかどうかで揺れています。p.177にも「Chrome60」「Chrome61」とありますが、挟む方が正なのかなと思いました。同様に、p.139の訳注で「NVDA2017.3jp」という表記がありますけど、ここも空白を挟んだ方が以下略。
- p.51で、line-heightプロパティの値に単位無しを推奨していますが、継承に関するリスクに言及があっても良いのでは、と思いました。
- p.72で、
見えているユーザーと見えていないユーザーを分離し始めている
ことについて注意喚起していながら、p.75以降ではそれとやや矛盾して聞こえなくもない .visually-hidden クラスを使った表示の制御を是としています。もちろん、そういう制御が必要なケースはあるわけですが、ページが離れていないので、どことなく「舌の根の乾かぬうちに......」みたいな気持ちになりました。 - p.79で、cURLの話が出てきますが、引用箇所の中に出てくる表記は全て小文字の curl で、これはこれであってるのかしら?と不安な気持ちに。
- p.82で、
お菓子のフラップジャック
って出てくるのですが、訳注が欲しかったです。イギリスのお菓子なんですかね? - p.85で、箇条書きの最後の項目、改行がやや不自然に映りました。
- p.97で、
ナパーム・デス
ってアーティスト?が出てくるのですが、訳注が欲しかったです。ちなみに、Bruce Lawson氏が「刊行によせて」の中で音楽ネタのジョークをもう少し減らすべきではないか
と忠告していた部分だと思いますけど、他には特に見かけなかったような......。 - p.116で、訳注に読点が連続している箇所(
、、
)があります。 - p.136で、
Windowsでハイコントラストモードに切り替えると背景画像は表示されなくなります
とありますが、Building a more accessible web platform - Microsoft Edge Dev BlogMicrosoft Edge Dev Blogで周知された通り、Edgeでは改善されていたような? - p.141で、
xlink:hrefのようにXLinkの名前空間接頭辞をつけるのはSVG1系の書き方
とあって、ふとこのサイトでどうしてたっけと思ったらまさにそのSVG1系の書き方でした。古い(汗 - p.146で、button要素の位置に関する解説が少しもやもやとしました。navの内か外かという論点なのですが、外に出して(ul要素ではなく)nav要素に対しhidden属性の有無をコントロールするのでは、なぜいけない(と著者は考えている)のだろう?、と。
- p.148で、アクセシビリティツリーという言葉が唐突に出てくるのですけど、アクセシビリティオブジェクトと合わせて、ここで訳注を加えた方が親切ではと思いました。
- p.166で、冒頭にある引用の塊がどういう意図で書かれているのか、ちょっとわからなかったです。ここも、いわゆるピカリング氏のセンスの成せる技だとは思うのですけど。
- p.171で、Henny Swan氏の記事が引き合いに出されてるのですけど、タイトルが微妙に違っている?みたいです(現在はAccessibility Originates With UX: A BBC iPlayer Case Study -- Smashing Magazine)。
- p.173やp.176で、訳注に「OSX」表記が出てくるのですけど、タイミング的にはもう「macOS」表記で統一しても良かったのでは、と思いました。
- p.187で、
ワーディングはコントロールできます
とあって、あたかもtitle要素内容はSERP上で不変であるかの書き方を著者はされていますが、知る限りではGoogle側で手を加えているケースはあると認識しています。 - p.198とp.203で、メソッド名を全部小文字の get と書いていて、これらはp.197の訳注にある GET 表記と整合しません。どちらが正、というのはないんでしたっけ......。
- p.256で、
いくつかのメリットあります
とありますが、途中に「が」が抜けてしまっているかもしれません。