損する結婚 儲かる離婚

2017年11月4日 著

誤解の無いよう先にお断りしておくと、離婚に対して強い興味・関心があるとか、ましてや離婚願望があるといった事実はありません。付け加えるなら、恋愛工学とかいう謎のパワーワードで知られる藤沢数希氏の別の著作を以前読んだことがあるのですけど、取り立てて氏のファンということもありません（むしろ、どちらかというと苦手な印象があります）。が、ちょっと興味本位で『損する結婚 儲かる離婚』という本を読んでみました。

年相応になって相手さえいれば結婚はするものだ、みたいな昭和の価値観にどっぷり浸かって育ったように思う自分にとって、本書で説かれている結婚や離婚の実態というのは非常に新鮮であり、ある意味ショックでもありました。もちろん、自分が結婚したことを後悔してはいないけれど、しかし仮に本書に書かれている内容を結婚前に知っていたなら、経済合理性の観点を強く持ったうえで検討なり判断をすることができただろうに、と思わされました。

著者は、結婚を将来の金銭の授受の権利義務関係を契約する、ある種の金融商品の取引、肉体関係の排他的独占契約が内包されている金融商品、所得の多い方が所得の低い方へ、お互いが使える金額が同じぐらいになるように、金銭を支払い続ける義務が発生する契約と記しています。こうした表現は好き嫌いの分かれるところだと思いますけど、しかし読み進めるうち現行の法制度上は少なくとも、そう表現されるのもやむなしと理解できます。また

いまの日本の結婚制度や社会規範が、最近の社会の変化についていけていないのは明白である。我々は、こうした前時代的な法規制の改正を求めなければいけないところまで来ているのではないだろうか。

多くの日本人は、家庭を作るには結婚するしかない、という固定観念を捨てて、結婚というのはそうするためのひとつの便利なツールである、ということを認識する必要があるのではないだろうか。

といった主張は賛同できます。いずれ将来、息子とこの手の話題について話し合う時も来ると思うので、その時のために少しずつでも自分なりの理解、考察を深めていきたいとも思いました。