UI GRAPHICS
著
だいぶ前に買っていた『UI GRAPHICS ―世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン』を、今更ながら読み直し。海外のアプリの事例紹介については、どうしたって紙面で紹介するには無理があり、さらっと眺める程度しかできない印象でしたけど、それより本書の価値は著名なデザイナーとか研究者の方々のUI論が読めるところにあるのかなと。3箇所ほど、線を引っ張った中からピックアップして覚え書きしてみます。
「質」の「感じ」つまり「質感」というのは、移動して変化する時間軸の中で起きる現象、つまり動きの中にある
正直、そういう理解はしていなかったけれど、言われて見ればなるほど納得。なぜか、質感という言葉からはすごく静的なイメージ、つまり自身と対象物の静的な関係、観測を通じて得られるものという思い込みがあったけれど、事実は全く逆であったという。
デザイナーが行うデザイン行為、つまり未知のものに相対したときのストレスを取り除くサービスの根幹に必要になるのは、想像力
想像力が必要、というのはWebのアクセシビリティ文脈でもよく語っていることであり、わかりやすい指摘。ただ、その文脈ではデザイナー視点で、どちらかというとデザイン行為の対象そのものではなく、それ以外のすべてを指して未知と語りがちだったけれど、初めてユーザーが触れるその場面において、ユーザー視点では当然、デザイン行為の対象=UIが未知の存在になるという。
インタラクションデザインは工学である。それは完璧なデザインを探す行為ではなく、一番良い妥協点を見つける行為
自分が「妥協」という言葉に、どちらかというとポジティブよりネガティブなイメージを持つようになってしまったのは果たしていつ、何がきっかけだったのか、覚えていません。ただ上記のくだりは妥協を肯定的に捉え直す良い機会になったというか、アートとデザインの相違を見直すことにもつながった気がします。
......あと、p.101を読んでふと思ったのが、ハートマークを「お気に入り」のメタファーに採用したのはいつ・どこのサービスが最初だったのかなと。今や、ありとあらゆる場面で使われており、ほぼ常識化したと言って良い存在ではあるのだけれど、お気に入り対象への「愛」を最初にハートマークで表現するのって、なかなか凄いことだったような気がして。