マーケット感覚を身につけよう
著
最近、少しまたマーケティングスキルをてこ入れしたい熱が高まったので、だいぶ前に買ったまま放置してしまっていた、ちきりん氏の著書『マーケット感覚を身につけよう』を読了。なんか最後の方は「市場」というより「変化」全般に対応できる人間になろう、みたいなメッセージの印象を強く受けてしまったけれど、まぁでも良い学びにはなりました。
割と前段の方で出てくる、ANAにとっての競合他社とはどこか?という話が、まず面白かったです。風呂敷を広げようと思えばどこまでも広げられる、という意地悪な見方もできなくはないですが......ただ、固定観念に囚われていたり市場の変化に思考が追いつけていないと、どこが競合か完全に認識を誤ってしまうという点で、ちょっと怖いなとも思ったり。そしてその、市場の変化を引き起こす原動力となっている存在がWebである、と:
就活や婚活の例でわかるように、社会の市場化を可能にしたのは、インターネットの普及です。ネットの技術が、不特定多数の需要者と供給者のマッチングを容易にし、相対取引を市場取引に移行させる基盤となりました。
Webが普及することで、社会全体の市場化という不可逆変化は、ますます加速度的に進行していく。それは見方によっては選択肢の増大を意味するし、つまりは社会全体がより豊かになっていくことにも映るけれど、相対取引がなお支配的な分野、業種・業界で生ずるであろう軋轢とどううまく折り合いをつけながらこれを進めるべきかって辺りが、個人的に気になるかな。ビジネス的な文脈で特に押さえておこうと思ったのは、以下のくだり:
どんなによい商品を作っても、供給者が多すぎると儲からない
市場化が進む社会で高く売れるのは、「よい商品」ではなく、「需要に比べて供給が少ない商品」
重要なのは儲かるかどうかではなく「価値があるかどうか」
新たな価値を見いだすことができれば、新たな市場、そして大きな経済価値が生まれます
あとは、やっぱり親なので、以下の教育に関するくだりは刺さりました。なおかつ実は結構、うまくやれる自信があります。なぜなら僕自身、宇宙業界からIT業界に鞍替えをし、今ほど転職が一般的になる前から、都合3度(出向含めれば4度)の転職を経験するなどしてきたくらい、変化(やその前提としての「選択肢を増やすこと」)の重要性には、目を向けてきたつもりだから:
これから親が子供に伝えるべきことは、特定の資格や専門性を勧めることでも、ましてや特定の企業を目指させることでもありません。そんなことより、変化は恐れるものではなく、楽しむものなのだと身をもって教えてあげましょう。