情報アーキテクチャ 第4版
著
監訳をされたソシオメディア株式会社の篠原さんのお取り計らいにより、出版元のオライリー・ジャパンより献本を送付いただいていた、最新版のシロクマ本こと『情報アーキテクチャ 第4版 ―見つけやすく理解しやすい情報設計』をようやく読了。いただいたのは昨年11月まで遡るのですけど結構な情報量(文章量)で、ちまちま読み進めてたら結構な日数が経ってしまっていたという。改めて篠原さんには厚く御礼申し上げます、ありがとうございました。
まずは最初から最後まで読み通した、というだけなので、何度か繰り返し読まないことには理解が至らなさそう。特に9章「検索システム」、10章「シソーラス・制限語彙・メタデータ」のあたりは、個人的に経験値の低い領域だけに字面を追っただけの箇所も少なくなく、そういう意味でも読み直すことは不可避。まぁシロクマ本は昔から、噛めば噛むほど味が出る的な、スルメのような本というイメージがあります。
Webの情報アーキテクチャ、IA(Information Architecture)の分野において、教科書どころか一種の経典といっても過言ではない本書には、自分がうまく言語化できないせいでモヤモヤしていたところがズバッと書かれていたりして、本当に素晴らしい。原著は読んでいないのでわかりませんけども、翻訳とか監修の作業は、相当大変だったのではないですかね。職業的な意味でのIA(Information Architect)に限らず、業務でWebに携わる方であれば誰でも、ぜひ読んでいただきたい本です。
いくつか気になった点:
- p.86でWebサイトの「メインページ」というのがちょっと新鮮というか、個人的には「トップページ」と呼称することに慣れ親しんでいたので、なぜ「メインページ」とされているのか気になりました。
- p.86でGustavus Adolphus Collegeのサイトに関し
ブラウザのウィンドウを小さくして表示するとうまくリフローしない
とか、あたかもモバイル対応できていないかの記載がありますが、しかしp.88の図5-2にあるように同サイトはRWDを採用しており、矛盾を感じます。 - p.97の「ジェネラルナビゲーションシステム」というのが、先述の「メインページ」同様、違和感。おそらく自分が日常的に「グローバルナビゲーション(通称「グロナビ」)と呼んでいる存在に相当すると思うのですが。本書では「グローバルナビゲーションシステム」という言葉はp.118以降使われています。
- 「メンタルモデル」という言葉に対する注釈が、p.109とp.121の二箇所に同じ内容で登場しています。丁寧といえば丁寧ですが、冗長でもあるような。
- p.126で
悪名高い「7プラスマイナス2の原則」
というくだりがありますが、それがなぜ悪名高いかという説明なり言及がないのは、やや片手落ちな印象です。 - p.202でSMEが「内容領域専門家」の英語表記として登場しますが、略語を開いた状態が推測できなかったので、「Subject Matter Expert」というのも付記しておいていただけると親切かなと思いました。
- p.238で
諸刃の刃
とありますが、瞬間的にこれは「諸刃の剣」の誤記かと思いきや、そうでもないようで......。 - p.238の
目的ページ
というラベルに違和感。これも個人的な慣習、ないし好みの問題でしかないのですけど、自分は同じ意味合いで「詳細ページ」という言葉をよく使います。 - P.320で
廃盤
という言葉が使われていますが、文脈的にレコードやCDに限定した流れ、喩えではないので、違和感があります。 - p.362の
Fidelityのようにすべきだ
というたとえ話が、やや唐突というか、Fidelityの注釈が欲しかったです。 - p.378とかp.379の図11-10で使われているDHTMLという言葉、死語っぽいので別の言葉に置き換えた方が良いような。