生産性
著
『自分の時間を取り戻そう』について覚え書きしたら、『生産性』も覚え書きしておかないとね。いずれも年末年始、実家に帰省した際に読んだもの。既に書いたように、いずれも生産性がテーマでありつつ、こちらはよりビジネスマン向けに特化したような書きっぷりの本です。
著者の伊賀氏曰く、日本と米国の組織を比べたとき、リーダーシップと生産性以外には、その人材力や組織力を左右する決定的な要因は何もない
という。本当にそうであれば心強いのだけれど......というのはさておき、リーダーシップについては過去に『採用基準』で書いていたそう。自分はそちらも読んでいたけれど、だいぶ昔のことだし、覚え書きし損ねているし、改めて読み直さないといけない。さて、
生産性を上げるための方法には、分子の最大化と分母の最小化というふたつの方法があり、さらにそれぞれを達成するための手段として、イノベーション(革新)とインプルーブメント(改善)のふたつがある
というのが、本書で印象に残ったくだり。どうも生産性向上というのが、単純な業務効率改善と安直に結びつけがちな傾向が自分の中にはあったけれど、それがイノベーションと縁がないなんてことはなかったし、むしろ生産性を上げた結果が、さらなるイノベーションの原資となり得るのですね。そして
イノベーションには技術的なイノベーションと、非技術的なイノベーションというふたつのタイプが存在する
というのは、自分が割と技術寄りな立場であるだけに、気をつけなければならないと思いました。もっともイノベーションという言葉、しばらく前からバズワードの一つというイメージがあって、あまりこう口にするのも憚られるような気がしていてアレだけど。また、
長時間の残業や無駄な会議を減らすことが解くべき課題として設定されてしまうと、解決方法は「ノー残業デイの設定」や「会議時間に上限を設定」といったコインの裏返しに終わってしまいます。
の「コインの裏返し」って表現が気に入りましたね。本質的な課題を放置したまま問題を反転させて解決方法とする、問題解決の悪例を示す言葉
、だそうですが、そういうのって仕事に限らず割と身近なところでもありそうな気がしているので、注意していきたい。
なお、第8章「マッキンゼー流 資料の作り方」と第9章「マッキンゼー流 会議の進め方」は正直、無くても本書は成立するし、どちらかといえば削った方が良かったのではないかと。サブタイトルが「マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの」となってもいるけど、別にマッキンゼーというブランドを笠に着なくたって?十分、本書は説得力のある内容だと思ったから。