わたしに会うまでの1600キロ
著
つい一週間前に京都にいたなんて信じられない(もうだいぶ昔のことのように思える)けど、覚え書きしておきます。京都小旅行中、TOHOシネマズ 二条で見た映画が『わたしに会うまでの1600キロ』。東京でも見れる映画を何も京都で見なくても......とは思ったけれど、時間の使い方として一番それがいいって思ったから。にしても、この邦題はもうちょっと何とかならなかったのかな? 原題(原作もか)は『Wild』であり、それは終盤の主人公の台詞とも大きく絡んでるんだけど、『Gravity』に『ゼロ・グラビティ』って邦題をつけられたのと同じ残念感を覚えます。
僕は数年前から山歩きに力を入れるようになったのですが、この映画を見ようと思ったのは、本作の舞台であるPacific Crest Trail(PCT)の景観に興味を惹かれたのがきっかけ。あとは、Cheryl Strayed氏の自叙伝を映画化したってことで、つまり事実に基づく点も魅力に映ったかな。山歩きをたまの趣味にしている観点からは、景観のほか装備に目がいきました。あれだけの長距離を歩くのに、一体何をどれだけ持ち歩くのだろう、と。冒頭、いきなりブーツを失うシーンがあって、ええっこれからどうすんのって感じになったし。途中にある山小屋で配送を受け取ることができるのは新鮮でしたが、確かにそういう仕組みが無いと歩き通すのは無理でしょうね。
トレッキングを通じて主人公が徐々に逞しく、そしてまた人間性を回復していくという王道的な筋書きではあるものの、主人公の母親役の演技がすごく魅力的でした。それもそのはず、あとで調べて知ったのだけど彼女(Laura Dern)は『October Sky(遠い空の向こうに)』に出てくる先生も演じてたんだな。不遇の環境であっても常に前向きに、時に痛々しいまでにすら人生を楽しもうとするその姿は、PCTの景観よりも強く印象に残りました。