@kazuhito
Kazuhito Kidachi's Personal Web Site Since 2000

宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方

古川宇宙飛行士の著書『宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方』、だいぶ前に読了。古川さんと言えば、昨年若田さんの打上げを見に行った際、ロシアからバイコヌールまで往復するあいだ基本的に行動を同じくしていたにも関わらず、結局最後まで声をおかけすることができなかった御方。まぁあちらはお仕事で来ていたのであって、物見遊山的な僕から話しかけられたら迷惑かなと思ったりして。もっとも、星出さんとはお話したわけで、今思えば写真の1枚でも撮らせていただければ良かったなと後悔してるけど。閑話休題。本書は宇宙飛行士がリスクやストレスに打ち勝つため、そして「想定外の事態」に対応するために、どう「受け止め」「考え」「対処して」いるのかが、古川さんの実体験を元にまとめられたものです。

締めるべきハッチはアメリカ・日本・ヨーロッパ・カナダ側で18枚、ロシア側で20枚くらいあった
デブリ接近に伴う避難のときのエピソードに出てくる数字。ノードごとに2枚あるとはいえ全部閉めるとなるとさすがに手間ですね。
着替えて脱出するまでに2時間かかり、2キログラムやせてしまうほど過酷
夏の黒海での、カプセル内で宇宙服から脱出用の服に着替える訓練のエピソード。これも数字でみると凄まじい。
リーダーは毎日変わる
National Outdoor Leadership School、NOLS訓練ではそうらしい。一部の人間にだけリーダー職を負わせるのでなしに、誰もがリーダー/フォロワーシップを体得できるよう組織設計できたら、とは常々思っているし、勤務先で多少そういう取組みはしているつもり。
大事なことは、「指摘に対して感謝の言葉を伝える」こと
本当に大事だと思います。そしてこれが自然にできてこそ、謙虚さというものが身に付いたと言えるのではないかなと。自分はまだまだですが。
異なる背景を持つ人同士がうまくやっていくための画期的な方法はなく、やはり地道にお互いのことをよく知ることが大切
宇宙飛行士同士ですらそうなのだから、狭い職場の中では何をか言わんや、という印象。
「配慮」はしても「遠慮」はしない
これまた難しい......配慮したつもりが結果的に遠慮になってること、割とありますから。
自分の担当業務の中で「部分最適化」を行い、全体の状況を自分の仕事にフィードバックすることで「全体最適化」を進める
何事につけても、この「部分最適化」と「全体最適化」のバランスの取り方が大事だなと思ってます。ミクロ視点とマクロ視点を常に併せ持つというか、発想における主観と客観、アートとサイエンスもまた然り。
「正しく怖がる」ことがリスクヘッジになる
リスク云々についてのくだりで出てくる表現。大学時代に人力飛行機を作り、またパイロットとして搭乗していた当時、その大切さは身をもって学びましたね。どういう操縦をしたときに機体がどう反応してどのような危険が生ずるか、さんざんイメージトレーニングと試験飛行を繰り返して。無駄に恐れてばかりいても進歩はないわけで。
「理解してもらえない」という状況はストレスに感じますが、程度の差はあれ、発生してしまうもの
自分の発する言葉や表現には無意識かつ無根拠で自信を持ちがちですが、理解してもらえたらラッキー、ぐらいでちょうどいいかもしれないですね。
物事に本来意味はない。意味を決めているのは人間であり、自分である
御意。幸せか不幸せかを決めつけるのもまた自分。すべては自分の認識、捉え方次第。
中では逆噴射があったことも分からないくらい
ソユーズのカプセルが着陸したときの話。これは意外でしたね......映像や写真で見る限り結構激しいのですけどね。国際宇宙大学に行ってたときも、誰かが映像流しながら冗談ぽく「Soft Landing!」って言って笑いを取ってたのをいまだによく覚えていて。

ちなみに本書、箱田さんが協力というかたちで巻末にプロフィールが載っていたのだけれど、どのような経緯と協力内容だったのでしょうか。羨ましいというか、ちょっと気になります。今度会ったときにいろいろ聞かせていただこう。

現在地:ホーム > 覚え書き > 月別アーカイブ > 2014年4月 > 宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方
Google カスタム検索を利用しています