採用基準
著
「そんじゃーね」の人ことChikirin、と同一人物かは今もって定かではありませんが、伊賀泰代著『採用基準』をようやく読了。昨年、割と出たての頃に買っていたのに、今まで放置していたのをちょっと後悔したくらい面白かったし、職場環境とか今の自分の仕事に対する向き合い方を再考させられた良書でした。
タイトルこそ、人事とか企業の採用活動に紐づいているかの印象ではあるけれど、蓋をあけたらとんでもなかったわ。むしろタイトルで損してるんじゃないかというぐらい、広く社会人/会社人全般にオススメできる内容ではないかしら。まぁ自己啓発/ビジネス書の類は、いかに書店店頭で手に取ってもらえるかという一種の「釣り」競争が激化しているものだから、それを踏まえてのタイトルかもしれないけど。「はじめに」において、本書が
これからの時代にグローバルビジネスの前線で求められるのは、どのような資質をもった人なのか
日本ではなぜそれらの資質が正しく理解されていないのか
それらの資質やスキルを身につけることによって、世の中はどう変わるのか
それらを身につければ、個々人の働き方やキャリア形成はどう変わるのか、どのような人生を歩むことが可能になるのか
といった点を究明することを目指した旨が記されています。そしてそのいずれの目的も達成できていると思うし、また論旨はいちいち勉強になりました。拠り所となっているマッキンゼーでの経験云々は割とどうでも良いというか......確かに、全体的にみれば同社をやや持ち上げ過ぎな感は否めませんけども、そんなことは特段気にならない不思議。おそらくその理由として、リーダーシップとは何か、それがなぜ組織の全員に求められるのか(どうしてそれほどまでに重要なのか)、それがマネジメント能力や調整能力とどう違うのか、が鮮やかに説明されかつ腑に落ちたからではないかなと。これら3つ(リーダーシップ、マネジメント能力、調整能力)を混同する傾向というのは間違いなく僕のなかにあったのだけど、本書のおかげで今後はスッキリ区別して論ずる/扱うことができそう。そして以下のくだりは特に肝に銘じておきたい:
どこで働く人も、自分の成長スピードが鈍ってきたと感じたら、できるだけ早く働く環境を変えることです。もちろんそれは転職である必要はなく、社内での異動や、働き方、責任分野の変更でも十分です。
うむ、もっと伊賀氏のいろんな話を読んでみたいぞ。というわけでMY CHOICEのフィードをGoogle Readerに追加してみたけど、Blog記事の末尾が「そんじゃーね」で締めくくられる日は訪れるのだろうか(謎