アニメ版プラネテス
著
GWに見始めたアニメ版プラネテス、最終話まで無事見終えました。最初から最後まで通しでちゃんと見たのは、実は今回が初めてのこと。原作であるコミック版は、モーニングを毎週欠かさず買っていた時期にリアルタイムで読んでいたし、単行本も全巻もっているのですけど、アニメ版は断片的にしか見ていませんでした。絵柄のせいか、なんとなく自分は原作/コミック版派だっていう認識でいたけれど......やはり食わず嫌いはよくなかったですね。大まかなストーリーは原作と同じながら、脚本の出来が良いのかアニメ版限定の登場人物が素敵なせいか、どの回を取っても面白くて途中飽きることなく最後まで引き込まれました。テレビ放映が2003〜2004年だったことを考えるなら、今なお十分鑑賞に耐える内容というのは凄いクオリティだなぁ。今年3月になってEMOTION the BestでDVD-BOXがリリースされたのも納得できる感じ。
宇宙開発の描き方が極めて硬派である点が、自分にとってプラネテスが魅力的に映る理由として大きいと思います。そもそも物語の舞台背景としてスペースデブリ、宇宙のゴミが重要な位置づけとなっている時点で、思いっきり硬派(というか地味?)なわけですが......硬派に感じる端的な例が、登場する宇宙服。コミック版で描かれる宇宙服とは明確に異なるものの、とにかく一見して「格好よくない」のです。どちらかといえば不格好で、一連のガンダムシリーズとか、同じく宇宙を舞台にした漫画『MOONLIGHT MILE』に出てくる宇宙服と比べれば、およそ洗練されているとは言い難い印象を受けます。しかし顔を覆う部分が、頭部を防御すると同時に種々の情報を映し出すディスプレイとしても機能するなど、実用的で「実際の」宇宙服の延長上にあるかの印象を受けます。そういうところが僕には硬派に映り、ひいては作品全体にリアリティを醸し出しているのかなと。
また、宇宙を舞台にしたSF作品ではありながらも、そこで扱われているテーマは多種多様で、最終的にはオーソドックスな人間讃歌に仕上がっている点も、魅力としては大きいかと。話が進むにつれ、さまざまな疑問が見ている側の心の内に喚起されます。会社って何だ。仕事って何だ。正社員って何だ。契約社員って何だ。上司って何だ。部下って何だ。男って何だ。女って何だ。人間って何だ。家族って何だ。親って何だ。子供って何だ。大人って何だ。宇宙って何だ。地球って何だ。宇宙開発って何だ。夢って何だ。我が儘って何だ。現実って何だ。生き甲斐って何だ。幸せって何だ。死って何だ。生って何だ。愛って何だ。で、木星往還船を作るほどに科学技術が発展しようとも、結局のところ人は人でしか無く、愚かでしかし素晴らしい存在であるとの理解に至るんですよね。ゆえに、宇宙とか宇宙開発に普段あまり興味を持たない層にも受け入れられる内容に仕上がっていると思うし、むしろそういう人にこそ見て欲しいアニメかと。そんなわけで、アニメ版プラネテス「も」コミック版と同じかそれ以上にオススメです。あーノノかわいくて辛い(謎