日本の宇宙探検
著
GW中の宇宙方面の活動(謎)としては、プラネテスを最初から見直しているのと(でも明日までに最終話まで見終えるかどうか微妙)、加えて買ったまま放置していた『日本の宇宙探検』を読了。この本、物理的な意味で薄っぺらいもののA4サイズでフルカラーでいて500円という安さ。実は中身の1/3が過去のJAXA'sのコンテンツの使い回しだった、という事実には買ってから気づいたのだけど、まぁしかし安さの理由は多分それだけではなしに、いろいろ苦心された結果だろうなとは思います。価格設定が一種のチャレンジであったことは、編集後記で明言されていますし。知った内容も多かったけれど、写真が奇麗だし(なかでもp.34のDiscoveryの写真は素晴らしい......NASAからダウンロードして大判サイズで部屋に飾りたいw)買ってよかったわ。読んでいて個人的に引っかかったのは、ひとつにはp.61にあるJAXA職員のクラスタ分析。本文には
宇宙に夢や憧れを持っている20代は「宇宙に行きたい」と答え、またエンジニアとして経験を積んだ30代の多くは「独自の宇宙船を開発したい」という声がありました。40代以上では意見が分かれたものの、JAXA職員全体として78.5%の人が宇宙へ行きたいと答えました。
とあるけど、その横に並んでいるチャートに年代別のものはなく、また職員全体の傾向としては「様子見」が最大多数のように受け取れるのですが。本文だけからだと、日本独自の有人宇宙ミッションに前向きな印象を受けるわけで、これはいったいどういう理解すれば良いのでしょう?職員全体のチャートはそれはそれとして、年代別のものも見たいものです。そもそも「様子見」の円が、JAXA独自の有人宇宙船を打上げるべきかどうか、自分が宇宙に行きたいと思うかどうかの二軸のどちらに対してもポジティブな象限に位置しているのは理解し難い。「様子見」クラスタって、本質的には変化を望んでいない=どちらかといえばネガティブ、少なくともポジティブには振り分けられないと思うのですが。そして二点目はp.78〜の毛利さんへのインタビュー記事で、
よく主要国首脳会議(G8)を国際宇宙ステーション(ISS)で開催すれば平和になるのではという話を聞きますが、とんでもない。各国の首脳が訓練して徹底的に苦労し、苦しい思いをしてから行けば変わると思いますが、ファーストクラスで楽に行ったとしても効果はない。宇宙へ行くということは、単に地球を外から見るだけではなく、地道でハードな訓練を積むという、そのプロセスが重要なのです。
というくだりには、敢えて異を唱えたい。無論、宇宙空間でのG8開催が即平和に繋がると思うほど楽観論者ではないけど、しかし人類の未来を左右し得るだけの立場にある人々が宇宙に出、地球を客観視する機会を得ることで、歴史をより良い方向へ動かせる可能性は高いと思っています(アポロ8号で撮影された「地球の出」の写真が、多くの人々に強烈なインパクトを与えたがごとく)。で、そういう可能性を生み出すためなら、別に各国首脳が「どう」宇宙へ出ようと構わないと思うのです。苦労して訓練を重ねる必要なんてないし、むしろそのほうが(ファーストクラスで楽に行ったほうが)良い。宇宙に行くという行為への自己満足で完結されては困るわけで、行って帰って来てからが為政者にとっての本領発揮なわけだから。