ウェブレイアウトの教科書
著
境祐司さんの最新著作(と言っていいのかな?)、『ウェブレイアウトの教科書 PC・スマートフォン・タブレット時代の標準デザイン』は年末年始に実家で読み終えました。結論から言ってしまうと、Web制作者な方には今一番オススメしたい一冊です。まず教科書を名乗るだけあって、基本的なところから出発している点に好感を持ちました。そして解説の補足や参考サイトの紹介(一部についてはご丁寧にbit.lyを使った短縮URL並記)、キーワード解説がとても充実しています。本文部分のみを読み終えるにはそれほどかからないだろうけど、取り上げられているリソースも含めてすべてを消化しようと思ったら、かなりの時間を要するはず。実際、その意味では僕自身まだ本書を消化しきれていません。その種のリソースの大半が、実は英語で書かれた記事や書籍、海外の動画ということもあり......まぁ仕方ないとは思いますが。
残念だったのは、そもそも「レイアウトの」教科書のはずが、ページを追うごとに扱う内容が狭まって、読み終わってみれば「最新のCSS3をいかに使いこなすか」みたいな、「レイアウトテクニックの」教科書に感じられた点。そのようなニーズは確かにあると思いますし、事実テクニック寄りの内容を期待してもいました。ただ、テクニック以上にレイアウトの理論的知識がもっと得られたなら、なお良かったのにと思います(教科書としてはその部分がもっと厚くあるべきというか)。また、チェックツールのひとつとしてIETesterが紹介されているのですが、そこは利用上の注意を喚起する記述も必要だったのでは?と思いました。最近のバージョンは知りませんけど、昔使ったときに素の(本物の)IEとはやっぱり違うなーって思うことが何度かあって、それ以来IETesterを信用できなくなり、面倒でもちゃんと本物で表示や動作を確認するようにしているので。使ううえでは、あくまでも簡易チェックという割り切りが必須かと思います。
最後に、メディアクエリーでスタイルを切り替えるのに必要とされるブレークポイントについて。ちょうど本書を読み進めている最中に、Zeldman御大(誰)がState of the web: of apps, devices, and breakpoints - Jeffrey Zeldman Presents The Daily Reportという記事を書きました。発端には、画面幅が今日あるまでに多様化した状況(特にAndroidデバイスに顕著)において、ブレークポイントとは一体どれだけ有用なのか?そもそもどう定義すりゃいいのよ?みたいなお話がありました。そのあたりの議論と検証には、今しばらく時間を要しそうだと思っていますが、本書の第二版がもし出るならば、是非ブレークポイントについても掘り下げていただきたい感じです。最近になって僕自身感じたことですが、Responsive web design default breakpoints are dead | Marc Drummondに追記されているのに似て、デバイス駆動で定義するよりコンテンツ駆動で定義したほうが良いのではないかと。現時点で主要なデバイスの画面幅のみをもって安易にブレークポイントを定義するのは、一定のリスクがあると思っています。