iPhone & Android スマートフォンサイト制作の教科書
著
『iPhone & Android スマートフォンサイト制作の教科書』を読んでの覚え書き。扱われている内容は結構幅広い(=個々の分野に対する掘り下げ方は浅い)のですが、どちらかというと設計や実装を担当する人向きの内容に偏っている印象。対象読者層というのは、なんとなくだけどたにぐちさんが書かれたマカロン本こと『iPhone+Android スマートフォンサイト制作入門』のそれとかぶっているように思います。個人的には、後半ほどじっくり知りたい内容が並んでいたのですが、後半の章に進むにつにつれ駆け足になっていく感じがして残念でした。
全体的にですが、URLを紹介するのにbit.lyの短縮サービスを使っているのとそうでないのでバラツキがあるのがちょと気持ち悪かったです。使わない方針で統一してくれたほうが個人的には嬉しい。あと、本文エリアとその脇の補足なんかを載せるエリアとに重複してURLが掲載されているケースが少なくなかったのも微妙でした。どちらか一方でいいんじゃないの、という。また「Webkit」表記が随所に出てくるけれど、「WebKit」ではないのかな……どっちが正かちゃんと確認したわけではないけど。似たので「Firefox for mobile」(p.27)は「Firefox for Mobile」じゃないの?とか。以下、個別に:
- p.17で
画像の大量使用はバッテリの消耗にも影響を及ぼします
とのくだり、なんとなくそうだろうなと思いつつも、客観的なデータが欲しいです。 - p.20の内容、既にiPhone 4SやらiOS 5がリリースされた今となっては若干、陳腐化しています。そこはまぁ紙の本の宿命ですが。
- p.32でPhoneGapが紹介されているのに違和感。アプリ用であってサイト制作用ではないと思っていたので。
- p.68で
ホーム画面への追加は、アクセスの手間を大幅に軽減しますので、積極的に促しましょう
とあるけれど、これどれぐらいの人が実行しているのか気になります。ちなみに僕はほとんどホーム画面に追加してないです(Gmailくらいなもん)。 - p.79で
Androidでは、ブラウザの機能を実装したアプリは少なく、アプリ内でリンクをタップすると、ブラウザが起動するケースが多い
というのは、どこかにそういう調査結果があるのでしょうか? - p.82でAndroid User Interface Guidelinesが紹介されているのですが、日本語ではまだ読めないのでしたっけ?なかの人(誰)には翻訳頑張って欲しいです><
- p.106でHTML5以前のほうのコードサンプルにdiv.article-footerが存在しているけど、そこはdiv.article-headerじゃないと、次のページでheader要素に置き換わるのに整合しないのではと思いました。
- p.120でプロパティ名にtarget-density-dpiとあるのはtarget-densitydpi(2つ目のハイフンが不要)の誤記ではないかと。
- p.126にも誤記。中段、
アイコンを指定するためのmeta要素があります
というのはlink要素の誤り。 - p.129にDive Into HTML5のもともと公開されていたほうのURL(diveintohtml5.org)が紹介されていました。次の版では要修正ですね。
- p.136の注記で
PDFアイコンへのリンクを明示する
とありますが、文脈的にはPDFファイルへのリンクを明示する、でしょうか。 - p.138で:first-childと:first-of-type擬似クラスを使うためのサンプルとしてのコード断片があるけれど、スタイルが意図した通り適用されるかどうかはこのコード断片「だけ」ではちょっと判断つきにくかったです。
- p.140で
余分にHTML要素を追加しなくとも、擬似的に要素を追加すること
をbefore/after擬似要素のメリットとして挙げています。しかしそれは、p.136の注記で指摘している内容と矛盾しているように感じました。ユーザーに確実に伝えるべき情報であるなら、それがファイルの種類であれサイトの種別であれ、スタイルシートで表示させるのでなくしっかりマークアップすべき、と主張していただきたかったです。 - p.143でborder-radiusにつき
値を対象の要素の幅・高さの半分以上の値にすれば、要素を正円にすることもできます
とあって、その半分「以上」というのが初耳でした。個人的に要確認。 - p.152の
W3Cで進行している構文
に違和感。標準化が進行している、ならまだ……。