機動戦士ガンダムUC 1〜10
著
読み終えたのはしばらく前のことでしたが、覚え書きしていなかったので。息子とそろってハマっているアニメ、機動戦士ガンダムUCの原作というか小説版?を読了。全部で10巻もあって、もともと小説なんてしばらく読んでいなかったこともあり、読み進めるのはちょっと苦痛だったかな。とはいえ、物語がどのようなかたちで最後を迎えるのかはずっと気になっていたし、アニメ版の完結(いつになるんだ?)までそれを知らないままでいるのは我慢ならなかったから、だいぶタイミングを外しつつもアマゾンで10冊まとめ買いしていたのです。電子書籍として出版されていればそちらを買いたかったけれど、そんな兆候は無かったしね。一時は同僚の方にお借りして読み始めていたけれど、やはり身銭を切ったほうが何としても読まなきゃって思えるものです。
でまぁ感想としては(注:微妙にネタバレを含むのでまだ結末を知らない/知りたくない人は以降は読まないことを推奨)、細かいところに納得のいかないところは多々あれど(その最たるものが「ラプラスの箱」があの程度の代物でしかなかったというオチ)、全体としては概ね楽しめたかと。そういう意味では福井晴敏氏の術中にまんまとはまった感があります。ただ欲を言えば、もう少しマンマシンインタフェースの究極の姿、行き着く先みたいなところを掘り下げて欲しかったかも。巨大ロボットとその操縦者たる人間が、物理的形状の制約を超越したところで同一化を果たすかの流れは、エヴァンゲリオンでも既に表現されてきたように思うけれど、ガンダムシリーズ、少なくとも宇宙世紀という世界観のなかに登場したのはガンダムUCが初めてだったでしょうか?結局のところ、サイコフレームとは何だったのかという一点に尽きるけれど、それが今後アニメのなかでどう描かれていくのかは楽しみにしたいと思います(小説版とアニメ版とでは流れが結構違うというのは踏まえつつ)。個人的に傑作だと思ったのは、8巻『宇宙と惑星と』においてバナージがタクヤ、ミコットと再会したその直後のくだり:
やりたいこと、やれること、やらねばならないこと。各々が不可分に絡みあい、漫然と将来という曖昧な像を漂わせていた日々は、もう帰ってはこない。やれることを見つけ、やらなければならないことをこなし、やりたいことに少しでも近づけてゆく。責任を背負い、手の届く範囲の幸福を追い求める大人の時間が、それぞれの中ですでに始まっている。
読めば読むほど、じわじわ来ます(謎)。これはこれで、大人とは何か、大人になるとはどういうことか、大人とはどう生きていくべきかに対する一つの解ではあって、それなりに(理解のみならず)納得をしつつも、「手の届かない範囲の幸福」を諦めることなく追い求めて悪あがきし続けるのもまた大人のあるべき姿ではないのか?と思ったりして、複雑な想いを抱かざるを得ないという。