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ホリエモンの宇宙論

元上司にして先日2年6ヶ月の刑が確定したホリエモンの著作『ホリエモンの宇宙論』を読了。全体は5つの章から構成されており、宇宙開発にあまり詳しく無い人でも、これまでの(アポロ計画以降の)大まかな宇宙開発の経緯や現状を俯瞰したうえで、ホリエモンがなぜ宇宙を目指しているのか、具体的にどのようなアクションを起こしているのかを理解できるようになっています。

  1. 第1章 停滞の原因は宇宙開発が公共事業になってしまっているからだ
  2. 第2章 民間の活力で宇宙を目指せ
  3. 第3章 民間の役割、政府の役割
  4. 第4章 小さな衛星、小さなロケット
  5. 第5章 未来の夢を語ろうじゃないか

全体的に、というか前半は特にですけど、これといって目新しい考え方なり知見には乏しい本でした(それはある程度予期したうえで買ったのですけど)。冷戦終結後の公共事業型宇宙開発への転換とその是非については、松浦晋也さんの著作なり講演の内容とほとんど同じように思えましたし。実際、氏がロケット開発を進めているSNS株式会社/なつのロケット団には松浦さんも参加されているわけで、さもありなんという。個人的に共感したのは、宇宙観光弾道飛行に言及した箇所の以下のくだり:

だが、私は実のところあまり弾道飛行に興味はない。なぜなら、弾道飛行は先がないからだ。これを実現しても次の段階である地球周回軌道に入るには、20倍以上のエネルギーが必要になる。

たとえ数分間であっても宇宙に行きたい、弾道飛行で自分は十分満足できるという人には、是非その手のツアーにガンガン参加して(お金を落として)弾道飛行をより安全かつ安価なものとしていただきたいけれど、自分がそうすることにあまり興味を持てなくなっています。一生に一度あるかないかくらいの大金を払うのに、たった数分間の弾道飛行はコストパフォーマンス的にどうよっていうのがあるわけで。タイミングの見極めが難しいけれど、死ぬまでに周回飛行のツアーが支払える金額範囲内で実現されそうになくなったら、弾道飛行で手を打つけども。貧乏性サーセン。

面白かったのは、最終章で語られた、ホリエモン自身が実際の宇宙開発に傾倒していくあたりかな。ガイナックスを媒介として宇宙作家クラブ方面の方がとつながり、ロシアからのエンジン調達を断念&独自開発へと舵を切り、鴨川で燃焼試験を開始しやがて植松電機と意気投合……ロケットまつりなんかで断片的には聞き知っていたけれど、改めてまとめ読みすると、その行動力には感服せざるを得ません。僕は別にホリエモンのシンパでもないけれど、氏の進める宇宙開発は応援したいと思いますし、今後を楽しみにしたい。その意味では、しばらくのあいだ氏が投獄されてしまうのが非常に残念ですけど、ロケット開発は継続されるようですから、なお一層の奮起を期待したい感じ。

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