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グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

目下、いろんな本を並行して読み進めていたり、読み終えていながら覚え書きできていなかったりする本が増えつつあったりもしますが、2011年になって初めて読了した本として『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』は覚え書きしておきたい。本書は22年間ソニーにお勤めになり、その後Googleで3年間(うち1年3ヶ月は日本法人代表取締役社長として)活躍された辻野晃一郎氏(@ktsujino)の著作。ある意味、氏の半生記のような内容であり、比重としては(勤続年数の比に似て)ソニーでの経験に多くのページ数を割いています。僕は社会に出たての頃にVAIOのファンとしてソニー製ノートPCをほぼ毎年のように購入(505X→505RS→XR1→Z505 JL→SRX7)していた経緯、そしてGoogleといえば今や利用しない日は無いほど頻繁に検索のみならず各種の製品やサービスを利用していることから、両社を渡り歩かれた氏の言葉に興味が湧いたのが購入動機。

個人的にはアメリカ留学体験を扱った第4章が面白かったのと、あとは氏がソニー社内で直面した困難の数々や、同社の社員宛に発したメッセージが強く印象に残りました(Google入社後の状況についてはまぁそうだよねというか、割と聞き知っていたことも多くて印象に残らず)。とりわけVAIOデスクトップとコクーン/スゴ録、これら2製品カテゴリの成功に氏が大いに貢献されたにも関わらず、いよいよ更なる成長・発展を会社的に期待されたハズの段でなぜか異動させられてしまったというのは、軽く衝撃的ですらあります。それがいわゆる大企業病と呼ばれる何かゆえなのかは謎ですが……私怨に端を発する梯子外しにしては、度が過ぎるように感じましたし。もっとも、氏からの一方向的な視点からだけでは読み解けない部分として、異動の理由なり背景がどうしてもブラックボックスとして残ってしまうのはちょっとアンフェアというか、逆に異動を命じた側の視点なり、上位レイヤーから見たソニー社内における氏に対する評価みたいなものもあわせて読まないことには、微妙な印象ではあります。とはいえ、自分のこれまでの経験と重ね合わせて何となく共感できる部分も少なからずありましたし、また逆境に滅入ることなく会社を信じて粘り強く奮闘された様には、大いに勇気づけられもしました(しかし最終的にはソニーを去ったわけですがw)。

なお、ソニーを辞められた後(第8章以降)の内容において、文脈上そこまで解説必要かどうか疑問に思える部分が少なからずありました。それは多分、自分が仕事上Webに関わっているためだとは思うのですけど。まぁクラウドとは何かをあまりご存じないビジネスマンにも読んでもらう前提では、それぐらいの肉付けは必要という判断だったのでしょうね。

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