『ふわり!』完結
著
人力飛行機を製作し鳥人間コンテスト出場を目指す社会人チームの姿を描いた元町夏央氏の漫画『ふわり!』が2巻目にして完結してしまったのは、個人的には残念。ネタ的にはマイナーにも程があるという感じではあったから、それほど長続きはしないだろうとの予見はあったにせよ、まさかのスピード完結という印象。まぁ仕方が無いとは思いますが、しかし人力飛行機×鳥人間コンテスト×社会人を真っ向から、実際の現場感覚を割としっかり描写した漫画としては、非常に希有な存在ではあったと思います。第2巻の巻末には、Coolthrustのメンバーのお二人と元町氏のクロストークが掲載されていて、WASA時代の先輩である国竹さんが写真入りで載っていたのには、驚かされました。まぁそれだけこの漫画にとってCoolthrustの存在は重要であり、同チームからの資料提供やアドバイスなくして企画自体成立しにくかったのかもしれません。たとえば主人公・星野が乗るアデリーという人力飛行機が竹生島と多数の鳥をバックに飛ぶ姿は、かつて(2005年?)Coolthrustの機体が番組放映時に見せたシーンを強く想起させますし。ほかに第2巻で気になった点をいくつか順番に:
- 「コースアウトして民家を倒壊させたら、その責任は誰が負う?」とは吉野社長の弁。しかし、人力飛行機と民家が喧嘩すれば、民家が勝ちます(倒壊するなんてことはあり得ない)。それだけ、人力飛行機は脆く壊れやすいものです。
- 東都工科大学の南、大学3年生の割に生意気過ぎるw こんなん現実にいたらマジ殺意抱くレベル。
- 3M スプレーのり77、懐かしい。「77スプレー」とか単に「77」とかって呼んでいた気がします。
- かわいいシノがまさか吉野社長に惚れていただなんて……ショック。社長は彼女の気持ちに気づいていたかどうか謎だけど、年の功あって気づけていたとは思う。
- おやじさんの「そうだな吉坊、お前はいつも正しいことを言う。しかしその正しさは、何かを産み出す正しさかな?」は惚れました。
- ボートに曳航されている、フライト後の滑空機の機体から、お札に天使の輪が付いて飛び立ってる絵はシュールだわ。
- 大会本番で、なぜ星野はヘルメットをかぶらず離陸したのか?この点はちょっといただけない。南でさえ?しっかりメットをかぶっていました。
- ペダルを漕ぐ足を止めてもプロペラが回り続けている、とはどういうことなのだろう。駆動系の一部にフリーホイールでも組み込まれているのだろうか?しかしプロペラの回転速度を一定に維持する必要を踏まえると、ちょっと考えにくい、です。