誰がための宙博
著
二週間近く前の話になるけれど、宙博2010について。自分は息子と一緒に参加するつもりでいたのですけど、機動戦士ガンダムUC episode 2の覚え書きにあるように、彼が熱を出してしまった関係で、急遽一人で参加をすることに。映画を見終えたその足で会場の科学技術館に着いてみると、当日券を買うにも会場に入るにも長蛇の列が。僕は事前に招待券をいただけたので、すぐと会場に入る方の列に並んだのですけど、入り口にたどり着くまで30分ぐらいは並んだでしょうか。客層的には、親子連れが非常に目立っていたと思います。すぐ後ろに並んでいた親子の会話から、どうやら小学校で入場券が配られたらしいことを知りました。
そして会場に入って真っ先に感じたのが、展示内容と客層とのミスマッチ。小学生やもっと小さな子供が大勢いるのに、しかし展示されている内容はどちらかといえば大人向け、低く見積もっても中学生以上向けに感じたのです。たとえば各ブースに掲示された説明パネルは、小さな子供が読める高さに掲げられてもいなければ、漢字に読み仮名がふられているわけでもない。ブースにいらっしゃるサイエンス・ナビゲーター(簡単にいえば説明員のような位置づけ?)に質問すれば、子供にもわかる程度に噛み砕いた解説が聞けるのでしょうが、混雑ぶりから察するにそれを期待するには人数が少な過ぎるようにも感じました。子供向けのワークショップも企画されてはいたけれど、肝心の展示内容がこれでは厳しいなぁ、と。無料の招待券をばらまくなら、その対象に伝わる・理解できる展示内容であるべきなのに……果たして宙博とは、誰を対象にしたイベントだったのでしょうか?宙博のサイトに行くと、開催期間中の来場者数が誇らしげにトップページに記載されてはいるものの、宙博とは?のページにある
「宇宙・天文」分野と「環境エネルギー」分野。この2つの分野は一見関係がなさそうですが、宇宙からの視点をもつことで地球の姿が見えてきたり、宇宙・天文分野の研究が私たちの暮らしに役立つ技術に転用されたりと、実はとても密接に関わっています。「宙博」は、この2つの分野をつなぐという新しい観点から、子供たちの夢と希望と好奇心を育て、また、新しい時代の案内役となるイベントです。
にあるような目的を達成できたかどうかは、単純な数だけからは見えてきません。少なくとも自分には、子供たちの夢と希望と好奇心を育て
るに足る展示内容だったとは思えませんから。むしろ、Webサイトなどから感じていた期待とのギャップに驚かされ、そして落胆させられた人(もちろん僕を含む)は、少なくなかったのではないでしょうか?企業の広告的な展示も少なからずあったことを考えると、大人で入場料が1500円というのは、いかに科学技術館の通常展示も見れますと言われても、ちょっと納得しにくい感じですし(ちなみに科学技術館の入館料金は大人で600円)。まぁ、招待券をいただいて参加した分際でそんなこと書くなって怒られそうですけど。そんなことを思いつつ、同じようなことを感じた親御さんはいないかと検索をしていたら、数の論理 - HereTodayの日記をみつけました:
数字は時に悪魔になる。喜怒哀楽が数字になったとき、それらが往々にして怒喜楽哀を孕んでいることに気づかないことが多い。宙博スタッフの中にも、大盛況を喜べないまともな人がいたはずである。スポンサーはそちらに耳をかたむけていただきたいものだ。
最近、仕事のほうでも感じたことですけど、数字というのはわかりやすい反面、一人歩きしやすく、また数字にあらわれない他のすべてを曖昧にしてしまう魔力があります。だからこそ、来場者数はそれはそれとして、イベントの成果に対する率直な評価を主催者側にお尋ねしたい。そしてまた、来年もこのような中途半端な、誰のためのイベントかわからないような宙博を開催されるおつもりですか?とも。