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JAXAiの仕分け結果についての雑感

行政刷新会議による事業仕分け第二弾二日目において、JAXAiにつき廃止との判断が下された件。僕は根っからの宇宙開発ファンを自認しているし、ましてやJAXAiの運営を請け負っている財団法人日本宇宙フォーラムの元職員でもあるわけで、仕分けの過程なり議論の詳細を把握するまでもなく、大変残念に思っていました。正直、打上げ等のイベントのライブ中継を楽しむ場を失ったり、マンスリートークのポッドキャストを聞けなくなるのは寂しい。そして先日、仕分けの模様が【JAXA】事業仕分け B-11 : 研究開発・広報 宇宙機構(文科省) 2010.04.26‐ニコニコ動画(9)で公開されていたのを拝見したので、雑感を覚え書きしておきます。

まず、1億円というコストをかける必然性、あるいは他の方法による広報と比較したときJAXAiがどれだけ効果的か?という命題について。JAXAiのユニークさは東京駅から目と鼻の先というその特異な立地にあるわけで、そもそも他の広報ツールとの比較は成立しにくいハズ。しかし広報効果をどう定量的に評価しているのか?との問いに、JAXAがきっぱり「できていない」と認めた点は、潔くもある反面、事業の存続を賭けた場にしてはいささか諦めが良過ぎる(ないし準備が悪過ぎる)ように映りました。数字でしか物事を把握・理解できない/しようとしないタイプの人々(と僕にはお見受けしましたが)を前に、想いの丈を語ったところで無意味なのは自明でしょうに……。旅行雑誌等に計34件取り上げられたと言っていたけれど、たとえばそれを金額に換算したときどれだけの価値があったかぐらい、多少粗っぽい試算でもいいから数字を出して欲しかったと思います。

しかし逆に、仕分け側の視点に対して、あまりに定量評価に偏るのもいかがなものかと感じました。1億円というコストを高いとみるか、安いとみるかについてはあえて触れませんけど、JAXAが主張するところの「知らない人に知ってもらう場所」としての価値なり意義に対し、もう少し理解を深めようという姿勢があっても良かったのではないかと。とりわけ立地を巡っては、JAXAiに期待された役割を踏まえればこそ、今の場所よりずっと行きにくいであろう日本科学未来館と連携してはどうかとか、ましてや筑波宇宙センターにまで来てもらうようにしてはとか、そんな意見は出てこないはずなのです。

宇宙開発に一定の理解があったり、興味のある層(宇宙オタク含む)であれば、筑波であれ種子島であれ、関連施設や展示施設まで自発的に足を運んでくれる可能性は高いでしょう。それ以外の層に対しどうリーチするのかという課題に対する解として、(浜松町の貿易センタービル28階にあった当時のNASDAiからすればだいぶ手狭なものの)交通至便の地に広報拠点を設けている、というのが自分の理解です。JAXAが再三主張したところの「立ち寄りやすさ」を優先して考えるならば、筑波はもとよりお台場ですらJAXAiの代替としては無理があると思うのですが、どうでしょう(常設である必要はなく、地方を巡回しても良いのでは?っていう意見についても同様)。

滑稽に感じたのは、JAXAiの来場者数の伸びが新丸ビルのオープンのおかげではないのか?との指摘。仮にそうだったとして、何が問題だというのでしょう?立地の選定が当たっていたということだし、背景がなんであれ、来場者が増えているのは良いことではないのですか?加えて、「一番ふらっと来てインパクトがあるのはあのフロリダ半島の……」云々。発言者にとっては、フロリダ半島もふらっと行ける範囲の場所かもしれませんが、一般的ではありませんよ。まぁフロリダはさておき、宇宙開発の最前線なり現場に出向けば大いに触発されるのは身を以て理解していますけど、そういうお話ではなくって、興味も関心もない(自らそういう場所に出向かない)人々の目にどうやって留まるかという議論であるからして、的外れな発言との印象が強かったです。

総じて科学的説明がない、統計学的手法への理解がない、1億円の経済合理性に対する説明がないという指摘は一理あるかもしれませんが、であれば150平米の敷地に4人のスタッフはオーバースペックではないかという指摘についても、科学的かつ統計学的手法を用いた説明をしていただきたかったですね。広報効果を定量評価するための、仕分ける/仕分けられる側双方の合意に基づく「物差し」が定義されていなかった以上、それを求めたところで納得のいく答えが仕分け側から得られたとは思いませんが……。

とまぁつらつらと書いてきましたけど、結局のところ12人中10名が廃止を支持、結論としては事業の廃止が求められることになってしまいました。最後の結論めいた部分で「皆が納得するような合理的な説明がなかった」などと語られていましたが、僕としてはこれだけ短時間の、しかも噛み合う部分の少ない議論(「議論」と呼べる内容だったかどうかすら怪しい)では、仕分ける側・仕分けられる側のどちらからも納得のいくお話を聞けていないと思いました。全体的な印象としては、やはり今回の仕分けはJAXAi廃止が既定路線として決められていたなかでのイベントだったのかなぁと。機関誌『JAXA's』の編集委員で、マンスリートークを担当されている寺門和夫氏が寺門和夫のブログ | 事業仕分け第2弾:日本の科学は暗黒の時代へ(4)において

仕分けの対象となった事業については、事前にヒアリングが行われています。評価結果で述べられていたJAXAi についてのコメントは、ヒアリングの過程ですでにでていたものばかりであり、はじめに結果ありきの印象が否めません。仕分けの対象となった時点で、 JAXAi の運命は決まっていたといえるでしょう。

と書かれていたけれど、仕分け側の数々の発言からは特に、そういう出来レース的な印象を抱きました。コスト削減という道を探ることなく、極端な二者択一を焚き付けるかの発言も、仕分け側からありましたしね。今回の仕分け、個人的には全般的に納得がいかないけど、廃止か否かに誘導したくだりについては納得がいかないどころか、若干の憤りも感じています。皮肉なことですが、今日になってJAXAi、来場者4倍 仕分け「廃止」判定がPR効果 - 47NEWS(よんななニュース)という記事を目にしました。文中にお名前が登場する田中さんは、在籍当時のかつての同僚であり、なんともいえない気持ちになりました……厳しい状況ではありますが、廃止後もJAXAiのコンセプトを継承する何かしらの施設は僕は必要だと思っていますし、少なくとも現JAXAiが最期を迎えるその日まで、精一杯頑張っていただきたいと思います>関係各位

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