プラネタリウムを作りました。
著
千葉市科学館で催されるイベント、プラネタリウム上映&対談「メガスター開発ストーリー」に参加できることは先週末に確定していたのですが(無事入場整理券をゲットできた)、メガスター開発者である大平貴之氏の著書『プラネタリウムを作りました。』を駆け込みでイベント前日になって急遽購入&読了したという。やはり予備知識の有無で対談内容の理解度、楽しみ方はだいぶ変わってくるでしょうからね……本書は5年も前に出版されていただけに、書店に探しに行って一発で見つかって良かった!!さすがだよブックファースト新宿店(謎
本書は大平氏自身の言葉によって紡がれた一種のサクセスストーリー、と言って良いと思うのですが、プラネタリウム製作にひたすら打ち込んでこられた軌跡をまとめたもの。もちろんその軌跡は決して平坦な道のりではなく、失敗とそれを乗り越えるためのチャレンジ、そしてブレイクスルーの連続だったわけで、ゆえにエンターテインメント性を備えた読み物として十分成立しています。1970年生まれということで年齢的にあまり離れていないし、ものづくりという点では過去に人力飛行機製作&鳥人間コンテスト出場の経験があるぶん、大平氏に対しては一方的な親近感を覚えますし、内容も余計に楽しめたように思います。個人的なハイライトは、なんといっても第3章にある「原板製作は少しずつ順調に。天井が抜けて星空が見えた」の節です。メガスターの投影テストを自室で行ったときの以下のくだりが、何とも味わい深く感じました。
天井に現れた星空は、まさにすばらしいものだった。「天井が抜けたかと思った」は冗談ではなかった。わずか一メートル先の天井に、無限の奥行きが現れたのだ。それは不思議な感覚ですらあった。
大平氏の生き様は、まさに「好きを貫く」の典型的なロールモデルに映ります。それはご自身もお書きになっているように、多くの人々に支えられてきたおかげでもあるでしょうけれど、ご両親の教育方針が素晴らしかったのが、とりわけ大きかったのではないかと想像しました。そんなわけで、本書を読んだ結果として、大平氏のご両親のほうにもお話を伺ってみたくなってみたり。
ちなみに、あとがきを読むまですっかり忘れていたのですが、本書はまんぷく::日記(現Imamuraの日記)の今村さんが編集者として出版に参加された一冊だったのですね。さすが良いお仕事をされているなぁと、改めて思い知りました。