iPhoneショック
著
林信行著「iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり」を読了。林さん(面識はないけど、昔からMac系雑誌の記事などを通じ大変お世話になっている方であり、一方的な親しみを込めて敢えて「さん」付けで呼ばせていただく)は、最近本書のほかにも「スティーブ・ジョブズ 偉大なるクリエイティブ・ディレクターの軌跡」という本を出版されています。そちらはあいにく未入手ですが、本書は先日浜松町で見かけた際に即購入しました。2008年中に日本国内での発売が期待されているiPhoneについては、僕自身とっくの昔に購入することだけは心に決めており、徹夜で行列に並ぶことも辞さないつもりでいるのですけど、となればやはり林さんによる分析の詰まった本書を読まないわけにはいきません。
「おわりに」にあるように、本書はある意味、日本のメーカーやそこに勤める人々を鼓舞する内容となっています。日本の携帯メーカーのなかには、Appleに負けずとも劣らぬブランド力や技術力を持つものがあるにもかかわらず、iPhoneのようなモデル(ハードウェアのみならずソフトウェア、さらには上納金というアイデアを含むビジネスモデルについても然り)を過去に世に送り出せなかったのはなぜか?というあたりが、第3部を中心に掘り下げられています。読めば読むほどApple/iPhoneは非の打ち所がない存在に映ってしまうけど、日本のメーカーにだって実現できないモノやコトではないし、挽回のチャンスはまだあるってことが、林さん流の優しさをもって諭されているようにも読めます。そういう意味では、本書を読んで欲しい対象というのは、いわゆるApple/iPhoneファンよりも、圧倒的に国内の携帯キャリア/メーカーやその周辺の人々ではないかなぁ。もっともiPhoneに限らず、Appleにおける「ものづくり」の根底ある哲学やスタンスを知ることができるという点で、他の業種・業界でものづくりに携わっている人々にとっても、参考になる内容は少なくないと思います。
実際にiPhoneを手に取って触ったことはあっても、日常的にはもちろんまだ使っていないのですが、実際のところはどうでしょうね……不満に思うところはそれなりに出てくるかな?しかし僕は今現在ウィルコムを使っており、つまり三大携帯キャリアがユーザーを囲い込むべく打ち出している類のサービスや機能をほぼ完全にスルーしているわけで、iPhoneが財布代わりにならなくたって、ワンセグが見れなくたって、基本的に困らないわけです(Appleになら喜んで囲い込まれてあげますよ的w)。iPhoneを巡っては、ドコモとソフトバンクが激しく獲得競争しているなんて記事を目にしますが、どちらの会社が権利を獲得しようと、ウィルコム的には結構ヤバいかもなぁ……既存のウィルコムユーザーって、先に書いたような理由から「あっさり」iPhoneの使えるキャリアに乗り換えてしまうかもしれないから。