Mobile Web Design

2007年10月5日 著

出張中に読み終えた本のなかの一冊が、Cameron Mollの書いた「Mobile Web Design」。本、といってもPDF版でしか販売されていないため、オンラインで購入したのを印刷したものなんですが（書籍として装丁されたものも10月15日から買えるようです）。実はPDF版という流通形態で本を買ったのは今回が初めて。どうも紙の質感といった部分も全部ひっくるめて一冊の本、というようにしか認識していなかったから、違和感はいまだに拭えませんけども、まぁ便利といえば便利なのかも。ちなみにご丁寧に各ページの最下部にThis PDF created especially for Kazuhito Kidachiとの表記が記載されています。それってPDFで販売されている書籍には共通の「お約束」だったりするのかな？

本書は、モバイル向けのWebデザインについて広く浅く、しかし最新のトレンドもしっかり踏まえながら論じたものです。この方面の話題について手っ取り早く俯瞰するには、良書だと思います（若干、癖は感じたものの、ボリュームが少ないぶん読み終えるにはそれほど時間を要しないのはありがたい）。そして英語圏、特に北米やヨーロッパ圏でしか参考にならない話ばかりというわけでもなく、日本での状況についてもちらほら言及がされています。

本書を読んだ感想としてまず、著者の公平性に対する配慮みたいなものを強く感じました。何事にも長所・短所はつきものですが、そういったところをバランスよく押さえてくれているのは、初学者にもより多くの視点を与える点でメリットがあるでしょうし、事実自分には勉強になったところが多々あったと思います。それは.mobiドメインを巡る議論についても然り（個人的にはあくまでもI don't like the idea of .mobi、ですが）だし、デザイン手法として挙げられた以下の4つについても個々にメリット・デメリットを挙げています。

• 何もしない
• 画像やスタイルを減らす
• handheldメディア向けスタイルシートを用意する
• モバイルに最適なコンテンツを用意する

あと、そもそもMobile Designとはなんぞや？という言葉の定義の部分をしっかり掘り下げているのは好感を持ちました。ともするとモバイル機器向けに特化した、というように解釈しがちですけど、本書においてはそうではなくユーザーのモバイル環境とかそれに付随したコンテキストに最適なデザインをもたらす、といった風に説明されています（One Webとの相関にも触れつつ）。