2006年の鳥コン(ただし人力飛行機のみ)を振り返って
著
取り急ぎという感じで今年の鳥人間コンテストで人力飛行機の2カテゴリについては速報を覚え書きしておきましたが(1日目/2日目)、その結果についての感想をいくつか、記憶が鮮明なうちに書いておこうかと。(ちなみに写真はFlickrのBirdman Rally 2006にまとめました。相変わらずショボイ写真ばかりですが。)
トップバッターのMeisterについては肝を冷やしました……パイロットの安否への不安、またその結果次第ではいきなり競技が中止になるかもしれないと思ったのです。プラットフォームから飛び出してからしばらく機体が安定していなかったのですが、割と高度のあるところから湖岸方向にスパイラルに入り、テトラポッドに「激突」してしまったわけですから。比較的軽傷で済んだとその後聞きましたけど、コックピットのレイアウトや衝突時の速度によっては最悪の事態も考えられたわけで、結果的に軽傷程度で本当に良かったと思います。
ただ、見ていて気分が悪かったのは、担架でパイロットが救急車に担ぎ込まれる様を撮っていたカメラクルーがいたこと。さすがにそのときの映像が番組で使われるとは思いませんが、パイロットのご両親がすぐ近くにいらしたはずである(飛行前に湖岸でインタビューを受けていました)こと等を考えると、そのカメラクルーの品位を疑いたくなります。
また、比較的短時間のうちに競技は再開されたわけですが、実に淡々と「飛行禁止空域に侵入したため失格」などとアナウンスされただけだったのも気になりました。競技参加者含め、当時会場にいた全員に対して大会運営側は説明責任を果たしているのかなぁ?とか。
後輩チームである早稲田大学宇宙航空研究会、飛び出してから機首上げできないまま主翼がねじり下がってしまって回復できずにそのまま墜落という残念な結果でした。ただ個人的に不思議だったのは、ほかの方も指摘されていたように、あの程度の速度でねじり下がるとはどういうことだろう?ということです。自分が94年にパイロットで出場し、操縦桿が折れて機首上げできなかった際には、今年よりも速いスピードで湖面に向けて突進・激突していたはずですが、しかしそのときですら降下過程で主翼はねじり下がらなかったと記憶しています。主翼の構造になんらかの問題があったように感じられてなりません。
ディスタンス部門では東北大学が2位以下に圧倒的な差をつけて優勝しましたが、日大機の記録が予想以上に伸びなかったのはまったくの予想外でした。他チーム同様東〜北を目指したかったものの、方向修正がなかなかできずに流されてしまった結果として、西に向かわざるを得なくなり、結果として必要以上にパワーを要求される状態で飛行し続けたようです。その日大機と3位のF-tecの飛距離の差も大きくて、実は今大会では1kmも飛べば3位に食い込めたという、近年には稀な状況が生まれていたのですね。それはそれで興味深いものの、全体的な面白みに欠けてしまったのは残念。もちろんそれは、イコールで番組がつまらなくなるということではありませんけど。
ディスタンス部門が上記のような結果に終わってしまったという影響も微妙にあったかもしれませんが、大会2日目のタイムトライアル部門は最高に面白かったです。大会史上初めて人力飛行機に旋回性能とスピードを要求したこのカテゴリ、ぜひ来年以降も(あるのか?)続けていただきたい感じです。8機中2機が棄権、離陸した6機中2機が180度旋回に成功、プラットフォームへの復路飛行に入ったというのは、カテゴリが成立するかどうかの視点では悪く無い割合だと思います。前評判通り?エアロセプシーと堺・風車の会が一騎打ちの様相を呈し、最終的な結果はご存知のとおりですが、とにかく府立大のパイロットは素晴しかったなぁ。こういうことを書くと怒られそうですが、個人的に府立大のフライトは(某野球選手ではないけど)「記録よりも記憶に残る」印象が強くて、今年もまさにそうだったのでした。いやでも本当に、最後の最後で素晴しいフライトを見せていただき感謝しています、ありがとうございました。次回リベンジに向けて頑張ってください!