松井教授の東大駒場講義録
著
松井孝典著「松井教授の東大駒場講義録—地球、生命、文明の普遍性を宇宙に探る」を読了。3月にアメリカ出張に行った際に持参し、ほとんど読み終えてはいたのだけど、ゴールデンウィークで帰省中のスキマ時間にようやくすべて読み終えました。高校や大学時代に学んだ事柄がほとんど自分の脳みそから抜けてしまっているという痛い事実をあらためて確認したりもしたけれど、それなりに楽しめた一冊。松井教授の著作は他にも何冊か読んでいますが、本著は東大駒場での一般教養の講義に「十数年ぶりに」登壇されたときの内容をベースにしたものだそうです。宇宙探査によって得られた最新の知見を織り交ぜつつ、この世界が普遍なのかという問いについて語っています。
僕が松井教授の話に魅力を感じるのは、テーマの広大さかもしれません。本著のタイトルに地球、生命、文明、宇宙、普遍性という5つの単語が登場しますが、そのひとつひとつを掘り下げつつひとつのテーマに沿って論じられるというのは単純に凄いことだなと、思うわけです。個々のトピックスはそれぞれに化学、地学、生物学といた個々の専門領域ならではの深みがあるのだけれど、普遍性という言葉によってひとつの文脈に結び付けられているところに面白みを感じるというか。もっとも、それこそが宇宙生物学、アストロバイオロジーの根幹なのであって、その第一人者(ちなみにWikipediaの松井孝典のページには日本の惑星科学の第一人者
とありますが)である以上は「語れて当然」かもしれませんけども。また是非いちど生の講演を拝聴したいものです。
読了を機に松井・杉田研のホームページを訪れたところ、 松井教授紹介記事(朝日新聞、宇宙にあこがれて8)へのリンクがあり、その内容がまた興味深かったです。末尾に引用されていた自分の人生は、自分の好きなことに使えればそれでいい
、いやまったく仰るとおりです。