By the way, I'm blind.

2005年7月1日 著

今夜は、僕が参加させていただいた本の出版祝いを、編集者の方お二人と井戸坊で行いました。お店で丸山さん（誰）に久しぶりにお会いしたら、肩書きが店長から取締役に変わってて驚いたんですが、それって昇進……ですよね？という余談はさておき。出版社の内情やら、Web制作やらについてお話しつつ、延々5時間も長居してしまいました。お疲れ様でした＆ありがとうございました。
ところで、会話のなかで紹介したのがDoug Bowmanの経験談。てっきりFalling in love with CSSのDouglas Bowman declares his love to CSS ...で読んだとばかり思っていたけど、調べ直したら@media 2005での彼の講演録「@media 2005: Douglas Bowman」で知った内容でした。ここに謹んで訂正させていただきます。その内容はというと、彼がWired Newsのリデザインを担当したときの逸話なんです。彼は当時まだ高いシェアを誇っていたNetscape 4.xにCSSを提供しないという判断のもと、当時としては珍しかったフルCSS実装を導入します。それに対する反応はというと、届くメールの9割が反対の意思表明だったのですが、ZeldmanやEricが彼の判断を支持し、またその業績を褒め称えたところ、彼のもとに賛成や賞賛の声が直接届き始めたんですね。ある夜、彼が受け取った賞賛メールは、内容的に他と代わり映えしなかったものの、最後の行に「ところで私は全盲です。（By the way, I'm blind.）」と書かれていて……その1通のメールが、彼のWeb開発やデザイン、アクセシビリティに対する見方をすっかり変えたとのこと。セマンティックなマークアップやCSSの積極的な利活用がいかに有効かを知るのに、ユーザからの生の声ほど心に響くメディアは無いでしょう。
この話を読んで、とても感動しました。以前、「名古屋城の石垣」というエントリで、かつて僕自身が業務を通じていただいたメールによって励まされたっていう体験談を披露しましたけど、それに勝るとも劣らぬ素晴らしい逸話であり、メールだと思います。