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スペースシャトルの落日

先日のロケットまつり6会場で購入したサイン本「スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~」ですが、面白くて一気に読了。当初は野口宇宙飛行士の搭乗するスペースシャトル(STS-114)の打上げと同じ日の発売が謳われていた本書ですが、残念ながらシャトルのほうは延期に継ぐ延期という状況。しかし昨日行った八重洲ブックセンターでは、1Fと3Fのどちらでも目立つところに置かれてましたし、結構売れてるんじゃないでしょうか。
スペースシャトル計画の概要、コロンビア号とチャレンジャー号の二度にわたる事故、また設計コンセプトにある背景を解説したうえで、スペースシャトルが世界の宇宙開発史に与えてきた影響、さらにはそれを踏まえて今なすべきことは何か?を語っています。大意としては既に「われらの有人宇宙船—日本独自の宇宙輸送システム『ふじ』」や過去のロケットまつりでの発言を通じて知っていたことがほとんどですが、最終章に登場する一人乗り超小型宇宙船「スニーカー」とそれ専用打上げロケット「ピッコロ」は初見でした。
最も興味深かったのは第4章「世界中が迷惑し、だまされた」の「アメリカは気が付くことができなかったのか」という節。著者の松浦さんは(シャトルの検討段階でその過ちに気付いた技術者の存在について)私は「いた」と判断している直接的な証拠はない。が、間接的にそうではないかと思わせる記述は残っているとお書きになっています。僕としては(取材費用の問題はあるにせよ)是非ともアメリカ現地取材を敢行し、直接的な証拠ってのを露見させて欲しかったなぁと思った次第です。また、この本が英訳され海外特にアメリカで発売されて欲しいなぁと思いました。類書が存在するかどうかは知らないけれど、本書の指摘というのは世界の宇宙開発全般に及んでおり、日本だけで読まれるのは勿体無いというか、いやむしろアメリカ人にこそ読んでもらいたいというか。特に、日本の対米追随姿勢なるものが今後も継続される前提に立てば、やはりアメリカ人への直接的な啓蒙こそが急務ではないのか?とか。それらが叶わなくとも、松浦さんとO'Keefe前NASA長官、あるいはScaled Composites社のBurt Rutan氏との対談が凄く読みたいなぁ……そんな気分になりました。

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