情報アクセシビリティ国際標準化セミナー2005
著
東京商工会議所国際会議場で開催された、情報アクセシビリティ国際標準化セミナー2005に参加しました。席に着いて開始を待っていたら、すぐ隣の列に偶然yuuさんとbookslopeさんがやって来て、ちょっと驚き。
最初の講演は東京女子大の渡辺教授による「JIS X 8341-3 と国際協調」。Webアクセシビリティの基本的な説明に始まりJIS X 8341-3(いわゆるウェブコンテンツJIS)の紹介、その後WCAG 2.0やISO規格化に向けた動向などの解説。その後は逐次翻訳によりShawn Lawton Henryの「The Essential Components of Web Accessibility(W3C/WAIの教育担当者が語るウェブアクセシビリティ入門)」、Wendy Chisholmの「W3C WAI Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0 Update(W3C/WAIが策定中のWCAG 2.0の最新情報)」という講演が続きました。いずれも、内容的にはごく基本的な部分が多く、得るものはそれほど多くありませんでした。
最後の質疑応答で、(Shawnのプレゼンにあったように)全体的な改善なくしてWebアクセシビリティ実装を巡る好循環は機能しないわけだけど、(WCAGやウェブJISはそれを遵守するよう強制する法律等があるが)ATAGやUAAGについてはどうなのか?っていうことを質問してみました。その回答としては、508条はソフトウェアも対象に含んではいるものの、充実はしておらず、引き続き教育・啓蒙が必要であるといったことしか聞けませんでした。今回のイベントは、全体的にコンテンツ側からのアプローチ(WCAG/ウェブJIS)が話の中心であったとはいえ、やや拍子抜けというか、片手落ちな印象を持たざるを得ない回答内容で、残念。やっぱりガイドラインは使ってもらってナンボのものだから、UAやATについても一層の努力をベンダに求めて然るべきであり、その部分においてもW3C/WAIのイニシアチブを期待したいところです。