第23回宇宙科学講演と映画の会
著
11時起床……慌てて身支度を整え新宿駅へ。第23回宇宙科学講演と映画の会に参加するのです。「宇宙科学講演と映画の会」はこの時期恒例のイベントで、僕は大学生のときに一度参加して以来毎年案内を郵送して頂いてたんだけど(とても有難いことです)、なかなか参加できずにいました。なので、今年は本当に久々の参加。
よく確認していなかったせいで、誤って東口から出てスタバに寄ったりしましたが、会場は西口を出て目の前の明治安田生命ホール。受付を済ませたところでJAXA広報室のW氏にバッタリ!お元気そうで何より。「早く席とらないとやばいよ」みたいなコトを言われて会場を覗きびっくり。開会10分前の時点で既に満席に近い盛況ぶり。
冒頭の挨拶のなかで的川先生は、天動説を信じる子どもの比率が増えているとの報道について、「教育の問題であり、親の問題でもある。将来の日本にとって重要な時期が経過している。」などとコメントしました。
2件の講演は、それぞれ「宇宙大航海時代へ−小惑星探査機「はやぶさ」とイオンエンジン−」「惑星の進化をさぐる −固体惑星の物質探査−」というタイトル。主に前者が工学分野、後者が理学分野を扱ったわけですが、僕はやはり圧倒的に前者の内容を興味深く拝聴しました。
「はやぶさ」に搭載されているイオンエンジン一基の発生する推力0.8[mN]が(それだけをみると)いかに小さな推力か、を1円玉を喩えに用いてわかりやすく説明していたのが印象的。イオンエンジンは全部で4基あるけど、1基ばバックアップであり、稼動しているのは3基。つまり全部足し合わせても、1円玉2枚ぶんとチョット。プレゼンテーションの途中、國中助教授が「はやぶさ」運用チームの爆睡している写真を映しながら的川先生に待遇の改善を求め、笑いを誘う一幕も。
イオンエンジンの開発過程で、2年間にもわたる稼動試験を行っていることについて、休憩時間に質問してみました。結局のところ今現在でも、実時間相当の運転試験が必要らしく、その点は電気推進先進国のアメリカでも同じらしいです。せめて実時間の10分の1とか、100分の1で見切りがつけられれば楽だと思うんですが、難しいんですね。
質疑応答では、なかなか鋭い質問も出ていました。土星の環はなぜ無くならないのか?、小惑星からのサンプルリターンで検疫は必要じゃないの?など。LUNAR-Aの打上げが大幅に遅れているのはどういうことなんだ、との指摘に対しては(ペネトレータの開発が難航したことに触れ)1万Gに対する見通しが甘かった、と回答されていました。
最後に、映画「−宇宙輸送の新たなゴール/再使用ロケット−」が上映されました。20分ながら、RVTについてよくまとめられており、宇宙観光への展開も映像化されていました。閉会の挨拶で、来年は故糸川英夫教授がペンシルロケットを発射して50周年とのお話がありましたが、そういう意味では来年の本イベントではRVTを推進している稲谷教授が講演してくださると個人的には嬉しいなぁとか思いました。