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ロケット・ドリーム

マリナ・ベンジャミン著、松浦俊輔訳の「ロケット・ドリーム」を読了。仕事と趣味の両面にわたり「宇宙開発」と「インターネット」を比較的中心に据えて活動してきたつもりの僕にとっては非常に興味深い内容で、最後まである種の緊張感を持って読めました。宇宙開発関係者および宇宙ファンの方々には、一読をオススメできる本だと思います。
イデオロギーの対立や国威発揚を後ろ盾としていたアメリカの宇宙開発が、アポロ11号による人類の月面到達という快挙を機にその勢いを失って以後、それまで新世界というかユートピア的希望を宇宙の場に求めていた人々がいかに変容してきたか。著者は自らの取材を通じそれを探求、ロズウェルでのUFO墜落騒動やインターネットの普及に伴う電脳空間の発達、さらには昨今のSETI@homeの流行にヒントを見出し、総じて(「訳者あとがき」にあるとおり)文明批評をしているようです。
最終章において著者は、「地球の外への人々の希望に再び火がつく」可能性として、トリアナという名の(地球の姿を撮像し、地上に伝送することだけを主目的とした?)衛星の存在を挙げていますが、人類にとって宇宙へ行くことの第一義は、地球や人類自身を客観視することだと再認識しました。

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