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想像力

小谷美紗子さんの歌に「エリート通り」という、歌詞に「殺人者」という単語が登場する衝撃的な歌があります。昨夜のライブでその歌を聴きながら、最近若年層に起きている犯罪に対し、思いを巡らさずにはいられませんでした。残酷極まりない罪を犯したり、あるいはそれ巻き込まれたりする層が、加速度を増して低年齢化しているように思えるのはなぜでしょう。

親の教育が悪かったんでしょうか。学校での教育が不十分だったんでしょうか。そもそも、今の教育制度を定めている国政に問題があるんでしょうか。多分、そのいずれもが正論たり得ると思います。総じて、子供の教育に問題があったのだろう、と。具体的にその問題とは、「想像力を豊かにするための教育」が不足していることだと、僕は思います。

自らの言動が、どのような結果を招くのか。想像を働かせ、自分自身とその周囲に及ぶ影響を適切に予測できる能力があるならば、犯罪行為を犯すような人間は年齢を問わず発生しないと思うのです。(ただし、一時の激情に伴う言動は、このようなプロセスを経ることが時間的に難しいでしょうから、まずは衝動的でない人間形成が第一かも知れません。)

また、想像力を豊かにすることは、危機回避能力を高めることにもつながる、と思います。自分自身にとって良からぬ危険な物事を嗅ぎ分ける能力というのは、ネガティブな実体験から得られるフィードバックのみならず、それに想像力を加えることで、より効率的な学習が可能になるからです。(これは僕個人の経験に基づきますが、きっと誰もがそうじゃないかと思います。)

ゆえに、想像力を育み、自らの言動に対する慎重さや、いろいろな意味での危機回避能力を高めれば、(完全に0にする、というのは無理にしても)罪を犯したり犯罪にまきこまれる可能性を極めて低いものにすることができるのではないか、と思うわけです。

では、想像力を豊かにする教育とは何でしょう。実際上、ペーパーテストの高得点が絶対的な価値としてみなされる受験戦争下(近年はだいぶ「穏やかな」戦争になっているかもしれませんが)、あるいは(以前と比べかなり廃れてきてはいるでしょうけど)学歴偏重主義社会においては、なかなか難しい命題だと思います。

ひとつには、物事の多面性、多様性を理解させる教育が当てはまると思います。これはまさに、与えられた問題に大して唯一の正解を回答することを好しとする姿勢とは真っ向から対立するのですが…。とにかくひとつの決まりきったものの見方をするのではなしに、脳内でさまざまなシミュレーションを行うようにする、と。これが「想像力を豊かにする」ための良いトレーニングになるかなと思います。

僕にもいつかは親になる日が来るんでしょうけど、自分の子供に対しては、上述のような教育を施し、犯罪とは一生縁の無い人生を歩ませたい、と思っています。

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