8日目(2000/1/2)
朝は5時半頃目が覚めて、また寝て、今度は放送で起された。Lemaire Channelを通過するのだ。一度シャワーを浴びる前に船首に行き写真を撮ったが、本当に狭い海峡だ。シャワーを浴びて髪を乾かしながらこれを書いている今も、船は前進しているけれど、何回か船が氷にぶつかる振動を感じた。
放送でPetermann Islandへの上陸が10時30分に遅れる見込みとのこと、しばらくSheryl CrowをBGMに後部デッキでぼーっと景色を眺めて戻ってきた。(身体が冷えてしまったし、トイレにも行きたくなったので)
この海峡は小さな氷がびっしり浮かんでいる。アザラシを何回か見かける度に双眼鏡を覗く。もそもそした動きが楽しい。そうそう、氷の上にちょこんと立ってるアデリー1羽も発見!ジェンツーばかりを見てきただけに嬉しかったな。あと面白かったのは、鳥の足跡がくっきり残っている氷とか、平らな表面のうえに(まるで誰か人間が作って置いて行ったかのような)球状の雪玉とか。
しかしいくら眺めてもこの南極の景色は見飽きない。本当はペンギンに会うのが目的の旅であって、それは今この瞬間も変わることは無いのだけれど、かなり風景に圧倒されているというか、感動してしまっているというか。
今日初めての上陸、Petermann Islandから帰って来た。
ここでは何と言ってもアデリーのルッカリーを訪問できたことが一番の収穫。Zodiacから降りて上陸した際の説明ではこの島のルッカリーが今回のツアー中最初で最後のアデリーのルッカリーであることを言われたので、すぐと右手の丘に登ってわらわらといるアデリーとご対面。ほとんどのつがいに雛が、しかももうかなり大きく成長したのがいてびっくりすると同時に嬉しく思った。写真もそれなりに撮れた。また、丘から見る景色も絶景だった。流氷の状態が良くないせいか戻る時刻が早まってしまったけれど、かなり満足できた時間でした。
うぅ、しかしこのPSION 5mxってこうして旅先で書き物するのには超便利だけど、WORDで2つのファイルを同時にひらいて編集することできたらもっと良かったのに。(泣)写真のキャプションを書いているファイルとの行き来ができない…。
昼飯を食って来た。今日の昼食は珍しく後部デッキでのオープンエアなスタイルだったけど、小雪ががんがん降って来て寒い寒い。朝飯を食べ過ぎた僕はスープ2杯とデザートのアイスだけ食べる。午後の予定はどうなることやら。
午後に予定されていたZodiac Cruiseは氷の状態により目下延期されている。寝転がってぼーっとしててふと窓から外を見るとほかの観光目的と思われる船が2隻も見えた。1隻は昨日Port Lockroyで見たロシア船籍の青い船だが、もう1隻はこのVAVILOVよりもずっと大きな、白地に赤いラインが何本も入ったものだ。写真も撮ってみたものの、小さすぎてわからないかな。
15時41分、今放送が入った。午後5時からDining Roomで映画をやるらしい。(南極の動物?について?)とりあえず南進して南極圈に船が到達してくれるとすごく嬉しいんだけどな。
16時00分に放送、上陸地点も見付けられず、また氷の状態が悪いことから、これから外洋に出てAntarctic Circleを目指す(到達は明朝を予定)とのこと。まぁ、仕方無いでしょう。外は相変わらず低く雲が立ち込めており、小雪も散らついている。晴れわたっているときのイメージと打ってかわって、今はまるで死の世界のよう。今は夏だからまだしも、これが冬になったらきっとますますそういう景色になるのだろう。
船は完全に外洋に抜けた。現在、明朝の南極圏(南緯66度33分以南)到達を目指して南進中だ。波も出てきて、かなり揺れも大きくなってきた。しばらく船酔い止めの薬を飲んでいなかったけど、さっき1錠飲んだ。船の揺れはやはり人力飛行機のそれに似ている。その昔操縦していた頃を思い出して、ロールとピッチの各軸回りの加速度変化を感じとり、それを手元にフィードバックするのを頭の中でシミュレートしてみたりする。
などと調子こいてたらあっさり船酔い。どんどん頭が痛くなってきて、夕食どきだというのに食欲も無くなった。酔ってから飲んでも遅いと知りつつも薬を飲み、早々と寝に入る。夕食に行った王さんに食堂から持ってきてもらったバナナ1本だけは食べた。